非転移性ホルモン感受性/非転移性去勢感受性前立腺がんを対象にイクスタンジを評価したEMBARK試験の結果を発表

2023/04/10

文:がん+編集部

 生化学的再発(BCR)のリスクが高い非転移性ホルモン感受性前立腺がん、または非転移性去勢感受性前立腺がん患者さんを対象に、エンザルタミド(製品名:イクスタンジ)を評価したEMBARK試験の結果を発表。エンザルタミドは、プラセボと比較して無転移生存期間の改善が認められました。

「イクスタンジ+リュープリン」、「プラセボ+リュープリン」と比較して無転移生存期間を改善

 アステラス製薬は2023年3月17日、EMBARK試験の良好な結果を発表しました。

 EMBARK試験は、BCRのリスクが高い非転移性ホルモン感受性前立腺がん、 または非転移性去勢感受性前立腺がん患者さん1,068 人を対象に、「エンザルタミド+リュープロレリン(製品名:リュープリン)」併用療法またはエンザルタミド単剤療法と「プラセボ+リュープロレリン」を比較した第3相試験です。主要評価項目は、「エンザルタミド+リュープロレリン」併用療法と「プラセボ+リュープロレリン」を比較した無転移生存期間、主な副次的評価項目は全生存期間、エンザルタミド単独療法と「プラセボ+リュープロレリン」を比較した無転移生存期間、PSA増悪までの期間、新しい抗腫瘍治療の開始までの時間、安全性などでした。

 試験の結果、「エンザルタミド+リュープロレリン」併用療法は「プラセボ+リュープロレリン」と比較して、無転移生存期間の統計学的に有意な改善が認められました。主な副次的評価項目である全生存期間も改善傾向がみられましたが、まだ十分なデータが得られていないため、最終的な全生存期間の解析のために引き続き経過観察が行われます。また、エンザルタミド単独療法と「プラセボ+リュープロレリン」を比較した無転移生存期間でも、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善が認められました。さらに、PSA増悪までの期間や新しい抗腫瘍治療の開始までの時間など重要な副次的評価項目でも統計学的に有意な改善が認められました。

 安全性に関しては、これまでに認められている安全性プロファイルと一致しており、新たな安全性シグナルは認められませんでした。

 同社は、次のように述べています。

 「本試験の詳細な結果については、今後、学会で発表する予定です。また、これらのデータについては、この適応症におけるイクスタンジの申請をサポートするため、米国食品医薬品局を含む規制当局と協議する予定です。承認された場合、イクスタンジは、BCRのリスクが高い非転移性ホルモン感受性前立腺がん患者にとって最初の治療法となります。アステラス製薬は、新たな治療選択肢を提供することでアンメットメディカルニーズの高い前立腺がん治療に一層の貢献をしていきます」