BRCA遺伝子変異陰性の進行卵巣がん対象に、「リムパーザ+イミフィンジ」を評価したDUO-O試験の中間解析を発表

2023/07/05

文:がん+編集部

 BRCA遺伝子変異のない進行卵巣がんを対象に、「オラパリブ(製品名:リムパーザ)+デュルバルマブ(製品名:イミフィンジ)」併用療法を評価したDUO-O試験の結果を発表。病勢進行または死亡リスクが37%低減されました。

「リムパーザ+イミフィンジ+化学療法+ベバシズマブ」は、「化学療法+ベバシズマブ」と比較して病勢進行または死亡リスクが37%低下

 アストラゼネカは2023年6月3日、腫瘍組織におけるBRCA遺伝子変異のない進行性高異型度上皮性卵巣がんを対象に、「オラパリブ+デュルバルマブ+化学療法+ベバシズマブ」併用療法を評価した第3相試験である、DUO-O試験の結果を発表しました。

 DUO-O試験は、患者さんを1:1:1の割合で以下の通り3つの治療グループに振り分け、実施されました。

  • 第1グループ:
    「化学療法+ベバシズマブ」後に、維持療法として「ベバシズマブ+プラセボ」併用療法
  • 第2グループ:
    「デュルバルマブ+化学療法+ベバシズマブ」後に、維持療法として「デュルバルマブ+ベバシズマブ+プラセボ」併用療法
  • 第3グループ:
    「デュルバルマブ+化学療法+ベバシズマブ」後に、維持療法として「オラパリブ+デュルバルマブ+ベバシズマブ」併用療法

 主要評価項目は、腫瘍組織におけるBRCA変異のない患者さんを含む全患者さん、および相同組換え修復欠損(HRD)陽性患者さんのサブセットにおける、第1グループと比較した第3グループの治験責任(分担)医師評価に基づく無増悪生存期間でした。主要な副次評価項目は、第1グループと比較した第2グループの治験責任(分担)医師評価に基づく無増悪生存期間、全生存期間などでした。

 中間解析の結果、第3グループ「オラパリブ+デュルバルマブ+化学療法+ベバシズマブ」併用療法は、第1グループ「化学療法+ベバシズマブ」併用療法と比較して、病勢進行または死亡リスクが37%低下。それぞれの無増悪生存期間の中央値は、24.2か月と19.3か月でした。

 HRD陽性のサブグループ解析では、第3グループ「オラパリブ+デュルバルマブ+化学療法+ベバシズマブ」併用療法は、第1グループ「化学療法+ベバシズマブ」併用療法と比較して、病勢進行または死亡の相対リスクが51%低下。それぞれの無増悪生存期間の中央値は、37.3か月と23.0か月でした。

 ドイツのEvangelische Kliniken Essen-Mitteの婦人科および婦人科腫瘍科長で、本試験の国際治験調整医師であるPhilipp Harter氏は、次のように述べています。

 「進行卵巣がん患者さんに対する一次治療の主な目的は、長期にわたる疾患の管理ですが、依然として多くの患者さんが急速に進行し、転帰不良の状態です。DUO-O試験における無増悪生存期間の中間解析データから、腫瘍組織におけるBRCA遺伝子変異のない患者さんにおいて、化学療法とベバシズマブのみの併用療法と比較して、リムパーザとイミフィンジをさらに追加した併用療法によってさらなる改善を示すエビデンスが得られました」