切除可能な局所進行胃がんの術前・術後補助療法としてキイトルーダ併用療法を評価した臨床試験の結果を発表

2023/08/04

文:がん+編集部

 切除可能な局所進行胃腺がんまたは食道胃接合部腺がんを対象に、術前・術後補助療法としてペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)併用療法を評価したKEYNOTE-585試験の結果を発表。主要評価項目の1つである完全奏効率について、統計学的に有意な改善が認められました。

キイトルーダ併用療法、主要評価項目の1つ完全奏効率を統計学的有意に改善

 米メルク社は2023年6月20日、KEYNOTE-585試験の最新データを発表しました。

 KEYNOTE-585試験は、切除可能な局所進行胃腺がんまたは食道胃接合部腺がん患者さん1,007人を対象に、術前補助療法として「ペムブロリズマブ+化学療法(シスプラチン+カペシタビンまたはシスプラチン+5-FU)」併用療法を行った後、術後補助療法として「ペムブロリズマブ+化学療法」併用療法とそれに続くペムブロリズマブ単独療法による治療を受けたグループと、ペムブロリズマブの対照薬としてプラセボを投与したグループを比較した第3相試験です。主要評価項目は、無イベント生存期間、病理学的完全奏効率、全生存期間、副次評価項目は無病生存期間、安全性でした。

 中間解析の結果、ペムブロリズマブを投与したグループは、主要評価項目の1つである病理学的完全奏効率を達成し、化学療法のみの場合と比較して病理学的完全奏効率が統計学的に有意に改善しました。もう一つの主要評価項目である無イベント生存期間でも改善が認められましたが、統計解析計画で事前に規定した統計学的に有意な延長は認められませんでした。全生存期間の解析は、無イベント生存期間の改善が達成されなかったため、正式な検証は行われませんでした。安全性に関しては、これまでに報告されている安全性プロファイルと一貫していました。

 同社研究開発本部クリニカルリサーチバイスプレジデントのScot Ebbinghaus博士は、次のように述べています。

 「この試験では病理学的完全奏効について統計学的に有意な改善が示されましたが、残念ながら無イベント生存期間についてはキイトルーダレジメンで有意な延長が認められず、切除可能な局所進行胃がんの治療の難しさが示されました。患者さんの臨床的アウトカムを改善していくため、より早期のがんにおける革新的な研究は非常に重要であり、当社は今後も鋭意取り組んでまいります。この試験にご参加いただいた患者さんと治験責任医師の皆さんに感謝しています」