再発・転移性頭頸部がんを対象に、「アルミノックス治療+抗PD-1抗体」を評価したASP-1929-181試験の結果を発表
2023/08/08
文:がん+編集部
再発または転移性頭頸部がんを対象に、「ASP-1929を用いたアルミノックス治療+抗PD-1抗体」併用療法を評価したASP-1929-181試験の結果を発表。同治療法の安全性と有効性に関する有望な結果が示されました。
客観的奏効率29.4%(完全奏効17.6%/部分奏効11.8%)、18か月時点の生存率53.5%
楽天メディカル社は2023年7月10日、ASP-1929-181試験の結果を米国頭頸部学会2023で報告したことを発表しました。
ASP-1929-181試験は、EGFRが発現している進行性の固形がんを対象に、「アルミノックス治療+抗PD-1抗体」併用療法を評価した第1b /2相試験です。主要評価項目は安全性、忍容性、抗腫瘍効果でした。本試験は以下の3つのパートで構成されています。
- 再発または転移性局所進行頭頸部扁平上皮がん
- 局所進行または転移性皮膚扁平上皮がん
- 少なくとも2か月間の抗PD-1抗体による治療を受けたにも関わらず病勢進行した局所進行または転移性皮膚扁平上皮がん
- 客観的奏効率:29.4%(完全奏効17.6%/部分奏効11.8%)
- 生存率:18か月時点で53.5%
- 有害事象:管理可能で概ね良好な忍容性を示した
有効性と安全性に関する有望な早期評価データが得られたことから、さらなる臨床試験により、これらの予備的発見を検証する意義があると考えられます。
米国テキサス大学MDアンダーソンがんセンター Division of Surgery, Department of Head and Neck Surgery教授のAnn M. Gillenwater氏は、以下のように述べています。
「進行頭頸部がんは、治療選択肢が限られており、概ね低い生存率と、高い局所再発率が課題となっています。抗PD-1抗体は頭頸部がんをはじめとするさまざまながんの治療に用いられています。今回の結果をもとに、アルミノックス治療と抗PD-1抗体の併用療法が再発頭頸部がんに対して新たな革新的治療法となる可能性について、さらに検討を進める必要があります。EGFR発現のあるがん細胞と、PD-1経路の両方を標的にすることにより、抗腫瘍免疫反応が活性化され、どちらか一方の単独療法に比べより持続的でより効果の高い腫瘍縮小が期待されます」