内膜肉腫を対象に、MDM2阻害薬「ミラデメタン」を評価した医師主導治験の結果を発表

2023/08/10

文:がん+編集部

 内膜肉腫を対象に、MDM2阻害薬「ミラデメタン」を評価した医師主導治験「MADAME PRINCESA試験」の結果を発表。ミラデメタンの有効性が確認され、治療選択肢となる可能性が示されました。

全奏効率20%、病勢コントロール率60%、無増悪生存期間(中央値)4.7か月、全生存期間(中央値)12.2か月

 国立がん研究センターは2023年7月13日、MDM2発現または増幅がある内膜肉腫を対象としたMADAME PRINCESA試験の結果を発表しました。

 MADAME PRINCESA試験は、MDM2発現または増幅がある内膜肉腫患者さん11人を対象に、MDM2阻害薬ミラデメタンを評価した医師主導の第1b/2相試験です。主要評価項目は奏効が確認された患者数、副次的評価項目は奏効率、病勢コントロール率、無増悪生存期間、全生存期間、安全性などでした。

 解析の結果、10人の患者さんのうち2人が部分奏効を達成し、全奏効率は20%でした。病勢コントロール率は60%、無増悪生存期間の中央値は4.7か月、全生存期間の中央値は12.2か月でした。2人の患者さんで、非常に有効な抗腫瘍効果が認められました。

 同研究センターは展望として、次のように述べています。

 「本研究によって、MDM2阻害剤であるミラデメタンがMDM2増幅を有する内膜肉腫の患者さんに有効である可能性が示唆され、今後さらなる評価が行われていくことが期待されます。また、MDM2阻害剤(ミラデメタン)の有効性を最適化する戦略として、本研究により示唆されたTWIST1増幅やCDKN2A欠失などが新しい効果予測バイオマーカーとなる可能性を検討し、MDM2阻害剤が有効な患者さんを選択したり、MDM2阻害剤と他の治療薬との併用療法を開発することが考えられます。またMDM2阻害剤で治療中に順次血中ctDNA解析をし、TP53変異のモニタリングを行うことで、病勢を評価できる可能性があります」