肝転移のある進行・再発固形がん対象、アルミノックス治療を評価する国内第1相試験開始
2023/09/01
文:がん+編集部
肝転移がある進行または再発固形がんを対象に抗CD25抗体-色素複合体「RM-1995」によるアルミノックス治療(光免疫療法)を評価する国内第1相試験が開始されました。
RM-1995、抗CD25抗体と光感受性物質IR700を結合させた抗体薬物複合体
楽天メディカルは2023年8月3日、RM-1995-102試験を国内で開始したことを発表しました。
RM-1995-102試験は、レーザ光照射が可能な肝転移病変が1つ以上あり、適用となる標準治療がない進行または再発固形がん患者さんを対象に、RM-1995を用いたアルミノックス治療とペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)の併用療法を評価する3つのパートで構成された第1相試験です。
第1a/b相では、RM-1995を用いたアルミノックス治療による単独療法、第1c相では、RM-1995を用いたアルミノックス治療とペムブロリズマブの併用療法の安全性と忍容性が評価され、最大耐量または最大投与量、第2相臨床試験で用いる推奨用量が決定されます。また、肝転移に対する本機器の安全性の評価も行われます。
RM-1995は、細胞表面のCD25に特異的に結合するモノクローナル抗体と、光感受性物質IR700を結合させた抗体薬物複合体です。RM-1995を用いたアルミノックス治療は、波長690nmのレーザ光照射により、固形腫瘍内のCD25+制御性T細胞を特異的に排除するようにデザインされています。同薬剤を用いた治療は、腫瘍内の制御性T細胞を特異的に減少させ、それにより腫瘍微小環境における局所的な制御性T細胞を介した免疫抑制を解除し、CD8陽性T細胞の制御性T細胞比を速やかに改善させ、エフェクターCD8陽性T細胞応答を再活性化させることが前臨床試験で示唆されています。
同社の三木谷 浩史代表取締役会長は、次のように述べています。
「当社が創薬した2つ目の新規化合物『RM-1995』を用いたアルミノックス治療の試験を日本で開始できたことについて大変嬉しく思います。肝転移はさまざまながん腫でよくみられ既存の治療法も限定的であることから、新たな治療を待っている患者さんにとっての『光』となると信じております。父の膵臓がんをきっかけに、アルミノックス治療の開発に関わることになり約10年が経過しました。膵臓がんを含む幅広いがん種に対する治療提供の実現に向け、大きな一歩を踏みだすことができたと実感しています」