HER2遺伝子変異がある切除不能・転移性の非小細胞肺がんを対象にエンハーツを評価した臨床試験の結果を発表

2023/10/13

文:がん+編集部

 HER2遺伝子変異がある切除不能・転移性の非小細胞肺がんを対象に、トラスツズマブ デルクステカン(製品名:エンハーツ)を評価したDESTINY-Lung02試験の結果が発表されました。

エンハーツ、2つの投与量のいずれでも臨床的に意義のある有効性を示す

 第一三共株式会社は2023年9月11日、DESTINY-Lung02試験の主要解析データを世界肺がん学会で報告したことを発表しました。

 DESTINY-Lung02試験は、HER2遺伝子変異がある切除不能・転移性の非小細胞肺がん患者さんを対象に、トラスツズマブ デルクステカンの2つの投与量(5.4mg/kg投与102人、6.4mg/kg投与50人)における有効性と安全性を評価した第2相試験です。

 解析の結果、5.4mg/kgと6.4mg/kgいずれの投与量でも臨床的に意義のある有効性が示されました。主要評価項目である客観的奏効率は5.4mg/kgで49.0%(完全奏効1人、部分奏効49人)、6.4mg/kgでは56.0%(完全奏効2人、部分奏効26人)でした。奏効期間の中央値は16.8か月と未到達、無増悪生存期間の中央値は9.9か月と15.4か月、全生存期間の中央値は19.5か月と未到達でした。

 安全性に関しては、2つの投与量(5.4mg/kg、6.4mg/kg)どちらにも新たな懸念は認められませんでした。グレード3以上の有害事象として、好中球減少症(18.8%、36.0%)、貧血(10.9%、16.0%)などが認められました。間質性肺疾患に関しては、それぞれ12.9%と28.0%の患者さんが治療と関連ありと判定されましたが、大部分が低グレードであり(10.9%、26.0%)、グレード3が1人(1.0%、0%)、グレード5(死亡)は2人(1.0%、2.0%)でした。

 同社とアストラゼネカ社は、次のように述べています。

「本剤により、HER2遺伝子変異を有する非小細胞肺がん患者さんへの治療に貢献してまいります」