エプキンリ、再発・難治性の大細胞型B細胞リンパ腫および濾胞性リンパ腫の治療薬として国内承認

2023/10/30

文:がん+編集部

 再発または難治性大細胞型B細胞リンパ腫および濾胞性リンパ腫の治療薬として、エプコリタマブ(製品名:エプキンリ)が国内承認されました。

エプキンリ、海外と国内の第1/2相試験で安全性と有効性を確認

 ジェンマブ株式会社は2023年9月25日、エプコリタマブが、2回以上の全身療法後に再発または難治性の大細胞型B細胞リンパ腫のうち、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、高悪性度B細胞リンパ腫、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、および再発または難治性の濾胞性リンパ腫Grade 3Bに対する治療薬として、国内での製造販売承認を取得したことを発表しました。今回の承認は、EPCORE NHL-1/GCT3013-01試験およびEPCORE NHL-3/GCT3013-04試験の結果に基づくものです。

 EPCORE NHL-1試験は、大細胞型B細胞リンパ腫および、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を含む再発進行または難治性の成熟B細胞非ホジキンリンパ腫患者さん157人を対象に、エプコリタマブの安全性と有効性を評価した海外第1/2相試験です。第1相は初回投与量漸増パートで、第2相の拡大パートでは主要評価項目として全奏効率、副次的評価項目として奏効期間、完全奏効率、完全奏効期間、無増悪生存期間、奏効までの期間などが評価されました。

 解析の結果、全奏効率は63.1%、完全奏効率38.9%でした。主な副作用は、サイトカイン放出症候群(49.7%)、注射部位反応(19.7%)、好中球減少症(17.8%)、疲労(13.4%)、発熱(12.1%)などでした。

 EPCORE NHL-3試験は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を含む、再発進行または難治性の成熟B細胞非ホジキンリンパ腫の日本人患者さん36人を対象に、エプコリタマブの安全性と有効性を評価した国内第1/2相試験です。第1相は初回投与量漸増パートで、第2相拡大パートでは主要評価項目として全奏効率、副次的評価項目として奏効期間、完全奏効率、無増悪生存期間、奏効までの期間などが評価されました。

 解析の結果、全奏効率は55.6%、完全奏効率は44.4%でした。主な副作用は、サイトカイン放出症候群(83.3%)、注射部位反応(58.3%)、好中球数減少(30.6%)、リンパ球数減少(19.4%)、食欲減退(19.4%)、血小板数減少(19.4%)、発疹(19.4%)、低カリウム血症(13.9%)、倦怠感(13.9%)、白血球数減少(13.9%)、低アルブミン血症(11.1%)、注射部位紅斑(11.1%)などでした。

 国内第1/2相臨床試験(EPCORE NHL-3 試験)の治験責任医師であり、国立がん研究センター中央病院 血液腫瘍科⻑である伊豆津宏⼆先生は、次のように述べています。

 「大細胞型B細胞リンパ腫の治療は近年進歩していますが、再発・難治性大細胞型B細胞リンパ腫患者さんの予後はいまだ⼀般に不良であり、複数回の治療で状態の悪化した患者さんにも有効で忍容性の高い治療薬が望まれていました。EPCORE NHL-3試験においても、エプコリタマブは再発・難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者さんの相当数に奏効をもたらしたことが示されており、今回の承認は大変意義のあるものです。また皮下投与かつ単剤による治療は、患者さんや医療関係者にとっての負担軽減につながる可能性があります」