フェスゴ、HER2陽性の乳がんと大腸がんに対する効能・効果で国内承認
2023/10/31
文:がん+編集部
「HER2陽性の乳がん」「がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん」についての効能・効果で、ペルツズマブ・トラスツズマブ・ボルヒアルロニダーゼ アルファの配合皮下注製剤(製品名:フェスゴ)が国内承認されました。
フェスゴ、パージェダ+ハーセプチン静注投与より投与時間を短縮
中外製薬は2023年9月25日、ペルツズマブ・トラスツズマブ・ボルヒアルロニダーゼ アルファの配合皮下注製剤が、「HER2陽性の乳がん」および「がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん」に対する効能・効果について国内承認されたことを発表しました。今回の承認は、FeDeriCa試験とPHranceSCa試験の結果に基づくものです。
FeDeriCa試験は、HER2陽性早期乳がんの患者さん500人を対象に、術前および術後薬物療法として「ペルツズマブ・トラスツズマブ・ボルヒアルロニダーゼ アルファ配合皮下注製剤+化学療法」併用療法と「ペルツズマブ+トラスツズマブ+化学療法」を比較した第3相試験です。主要評価項目は反復投与時のペルツズマブの最低血中濃度、副次的評価項目は安全性、反復投与時のトラスツズマブの最低血中濃度、乳房および腋窩での病理学的完全奏効率などでした。
PHranceSCa試験は、HER2陽性早期乳がんの患者さん160人を対象に、ペルツズマブ・トラスツズマブ・ボルヒアルロニダーゼ アルファ配合皮下注製剤に対する患者選好度および皮下投与の満足度を評価した第2相試験です。主要評価項目は患者選好質問票の回答に基づく患者さんの選好度、副次的評価項目はペルツズマブ・トラスツズマブ・ボルヒアルロニダーゼ アルファ配合皮下注製剤とペルツズマブおよびトラスツズマブの静注製剤に対する患者さんの満足度、治療継続期間における患者さんの本剤選択率などでした。
FeDeriCa試験では、ペルツズマブ・トラスツズマブ・ボルヒアルロニダーゼ アルファ配合皮下注製剤とペルツズマブおよびトラスツズマブ静注製剤における血中ペルツズマブ濃度に関する非劣性(薬物動態)が検証されました。主な有害事象はそれぞれ、脱毛症(77%、70%)、悪心(59%、60%)、下痢(58%、55%)、貧血(34%、41%)でした。また、PHranceSCa試験の評価対象となった85%(136/160人)の患者さんでは、ペルツズマブおよびトラスツズマブ点滴静注製剤による併用より、ペルツズマブ・トラスツズマブ・ボルヒアルロニダーゼ アルファ皮下注製剤が好まれ、最も多い理由として診療時間の短縮が報告されています。
ペルツズマブ・トラスツズマブ・ボルヒアルロニダーゼ アルファ配合皮下注製剤は、ペルツズマブおよびトラスツズマブに含まれるモノクローナル抗体とボルヒアルロニダーゼ アルファの溶液が1本のバイアルに含まれ、調製不要で固定用量による投与が可能です。薬剤投与時間(経過観察などを除く)は、ペルツズマブおよびトラスツズマブ静注製剤を続けて投与する場合、初回は約150分、2回目以降は60~150分に対して、ペルツズマブ・トラスツズマブ・ボルヒアルロニダーゼ アルファ配合皮下注製剤の投与時間は、初回は8分以上、2回目以降は5分以上です。
同社の代表取締役社長 CEOの奥田 修氏は、次のように述べています。
投与時間の短縮は、患者さんの利便性向上および医療現場の負担軽減につながることが期待されます。本剤をいち早く治療にお役立ていただけるよう、発売に向け準備を進めてまいります」