再発/難治性の大細胞型B細胞リンパ腫、移植非適応患者さん対象にイエスカルタを評価したALYCANTE試験結果を発表

2023/11/10

文:がん+編集部

 再発または難治性の大細胞型B細胞リンパ腫の移植非適応患者さんに対する初期治療として、CAR-T細胞療法「アキシカブタゲン シロルユーセル(製品名:イエスカルタ)」を評価したALYCANTE試験の結果を発表。高奏効率および長期寛解が認められました。

3か月時点の代謝学的完全奏効率は71%で主要評価項目を達成、6か月時点では59.7%の患者さんが代謝学的完全奏効を維持

 ギリアド・サイエンシズ株式会社の子会社Kiteは2023年9月18日、CAR-T細胞療法「アキシカブタゲン シロルユーセル」を評価したALYCANTE試験の結果を発表しました。

 ALYCANTE試験は、一次治療後に大量化学療法および自家造血幹細胞移植非適応と判断された再発または難治性の大細胞型B細胞リンパ腫患者さん62人を対象に、アキシカブタゲン シロルユーセルの有効性および安全性を評価した第2相試験です。主要評価項目は、アキシカブタゲン シロルユーセル投与から3か月時点の代謝学的完全奏効率(投与後のPET試験で陰性となった割合)でした。

 試験の結果、3か月時点の代謝学的完全奏効率は71%で主要評価項目を達成しました。また、6か月時点では、59.7%の患者さんが完全奏効を維持していました。

 試験期間中の最良効果をカウントした客観的奏効率および完全奏効率は、それぞれ91.9%と82.3%でした。追跡期間中央値12か月間時点の無増悪生存期間の中央値は11.8か月で、評価対象患者さんの48.8%は、12か月の時点で生存かつ無増悪でした。全生存率の中央値は未達でしたが、12か月時点の全奏効率は、78.3%でした。

 安全性に関しては許容範囲でしたが、グレード3~4のサイトカイン放出症候群が8.1%、免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群が14.5%の患者さんで認められました。

 フランスのレンヌ大学病院の血液学部門長で、ALYCANTE試験コーディネーターのロシュ・ウオ教授は、次のように述べています。

 「アグレッシブな再発または難治性の大細胞型B細胞リンパ腫を有する移植非適応患者さんは、予後が芳しくありません。ALYCANTE試験は、移植非適応の再発または難治性の大細胞型B細胞リンパ腫患者さんに対する二次治療として、アキシカブタゲン シロルユーセルを評価する初の試験で、その結果は治療が難しいこの集団において、高い奏効率および長期寛解を示しました」