アルミノックス治療、ASP-1929-181試験データ基にした2つの研究結果を米国がん免疫学会で発表

2023/12/20

文:がん+編集部

 再発・転移性の頭頸部がんに対するアルミノックス治療(光免疫療法)を評価したASP-1929-181試験のデータを基に、免疫特性および細胞レベルでの薬剤取り込み率を解析した2つの研究結果が、米国がん免疫学会で発表されました。

血中のCD8陽性T細胞全体の低頻度が、アルミノックス治療の良好な治療結果と相関するバイオマーカーである可能性を示唆

 楽天メディカル社は2023年11月7日、アルミノックス治療の治療成績に関連しうる2つの研究結果を米国がん免疫学会の第38回年次総会で報告したことを発表しました。今回の研究結果は、再発・転移性の頭頸部扁平上皮がんおよび進行性・転移性の皮膚扁平上皮がんを対象とした第1b/2相ASP-1929-181試験のデータに基づくものです。

 1つ目の発表は、アルミノックス治療を受けた患者さんにおいて、マルチプレックス免疫蛍光イメージングと末梢血フローサイトメトリーにより奏効が認められた奏効群と非奏効群の免疫特性を、AIを用いて比較した研究です。比較の結果、治療開始時に血中のCD8陽性T細胞頻度が低いことや、CD8陽性T細胞における免疫チェックポイント分子PD-1の発現頻度の増加が、良好な治療結果と相関するバイオマーカーである可能性が示唆されました。さらに、解析された全ての患者さんで、治療期間中の細胞傷害性CD8陽性T細胞の増加が確認され、アルミノックス治療後の免疫活性化が示唆されました。

 2つ目の発表は、アルミノックス治療に用いる薬剤の取り込み率測定に関するものです。AIを使用した新たな薬剤定量化手法により、細胞レベルでの薬剤の標的腫瘍への取り込みを正確に測定できる可能性が示されました。また、この測定により、臨床データにおける薬剤の腫瘍への良好な取り込みが確認されました。薬剤取り込み率の解明により、今後の非臨床および臨床試験で、薬剤投与量と治療反応との関連についてさらなる理解につながる可能性があります。