切除可能なステージ2~3Bの非小細胞肺がんを対象に術前術後のキイトルーダ併用療法を評価した試験の結果を発表

2024/01/19

文:がん+編集部

 切除可能なステージ2~3Bの非小細胞肺がんを対象に、術前術後のペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)併用療法を評価したKEYNOTE-671試験の結果を発表。全生存期間の改善が認められました。

キイトルーダ併用療法、「化学療法+プラセボ」と比較して死亡リスクを28%低下

 米メルク社は2023年10月20日、KEYNOTE-671試験の2回目の中間解析の結果を発表しました。

 KEYNOTE-671試験は、切除可能なステージ2~3Bの非小細胞肺がんを対象に、術前補助療法として「ペムブロリズマブ+化学療法」を行った後に術後補助療法としてペムブロリズマブ単独療法を行うレジメン(ペムブロリズマブ併用療法)と、術前補助療法として「プラセボ+化学療法」を行った後に術後補助療法としてプラセボ単独療法を行うレジメン(化学療法+プラセボ)を比較した第3相試験です。主要評価項目は全生存期間、無イベント生存期間、主な副次評価項目は病理学的完全奏効、病理学的奏効でした。

 解析の結果、ペムブロリズマブ併用療法は、「化学療法+プラセボ」と比較して死亡リスクを28%低下させ、全生存期間の改善が認められました。それぞれの36か月時点の全生存率は、ペムブロリズマブ併用療法は71.3%、化学療法+プラセボでは64.0%でした。

 安全性に関しては、これまでに認められている安全性プロファイルと一貫しており、新たな安全性シグナルは認められませんでした。グレード3以上の治療に関連した有害事象は、ペムブロリズマブ併用療法の45.2%、「化学療法+プラセボ」の37.8%で認められました。投与中止に至った有害事象は、それぞれ13.6%、と5.3%、死亡に至った有事事象は、それぞれ1.0%と0.8%で認められました。

 McGill Universityの外科学准教授で、KEYNOTE-671試験の治験責任医師のジョナサン・スパイサー博士は、次のように述べています。

 「KEYNOTE-671試験の結果は外科的切除可能な非小細胞肺がん患者さんの治療アウトカムを改善するための取り組みにおいて重要なマイルストーンとなります。キイトルーダを周術期に行う標準的な化学療法に術前および術後に投与することで、プラセボと比較して死亡リスクが28%低下しました。非小細胞肺がんは世界中でがん関連の死因のトップとなっており、この新たなレジメンは外科的切除の可能な患者さんに広く適用することができます。キイトルーダを対象となる患者さんの標準療法に導入することで、医療従事者の皆様にとって患者さんの寿命を延長させる強力な手段となる可能性があります」