「HPVワクチン接種行動に対する意識とワクチン接種への満足度調査」の結果を発表
2024/02/01
文:がん+編集部
HPVワクチンの積極的勧奨が中止された間に接種対象年齢となっていた女子大学生を対象にした、「HPVワクチン接種行動に対する意識とワクチン接種への満足度調査」の結果が発表されました。
HPVワクチン接種の満足度、子宮頸がんや性感染症に関する正しい知識がカギ
大阪公立大学は2023年12月7日、「HPVワクチン接種行動に対する意識とワクチン接種への満足度調査」の結果を発表しました。同大学看護学研究科の髙知恵講師らの研究グループによるものです。
HPVワクチンの日本の定期接種は2013年4月から実施されましたが、副反応の報告により数か月で積極的勧奨が中止されました。そのため、日本の接種率は諸外国よりもかなり低水準となっています。しかし中止による子宮頸がん発症・死亡率の増加が明らかとなり2022年4月から積極的勧奨が再開されています。
研究グループは、2021年4月~7月にHPVワクチン接種の積極的勧奨が中止された間に接種対象年齢となっていた女子大学生を対象に、HPVワクチン接種行動に対する意識とワクチン接種への満足度調査を実施。252人から有効回答が得られました。
分析の結果、「保護者の推奨やワクチン接種の話題」「副反応への心配が少ないこと」が、ワクチンの接種行動に影響していることがわかりました。また、HPVや子宮頸がんに関する知識や自分は性感染症にはかかりにくいという自己認識などが、ワクチン接種行動決定の満足度に関連する要因になっていることがわかりました。
髙知恵講師は、次のように述べています。
「HPVワクチンは、子宮頸がんを予防できる唯一のワクチンです。妊孕世代にある若い女性に多い子宮頸がんの予防には、HPVワクチン接種と定期的な子宮頸がん検診が重要です。HPV感染は自身のセクシュアリティに密接に関係する非常にプライベートな問題ではありますが、正しい知識と自身の意思決定のもと、ワクチン接種有無について検討することが重要だと考えます。医療従事者からの、接種対象者やその保護者に対する正確な情報提供、知識醸成の支援は健康増進に向けた重要な課題と考えます」