進行・転移性淡明細胞型腎細胞がんを対象にオプジーボ皮下注を評価した臨床試験の結果をASCO GU 2024で発表
2024/03/18
文:がん+編集部
進行または転移性淡明細胞型腎細胞がんを対象に、ニボルマブ(製品名:オプジーボ)皮下注を評価したCheckMate-67T試験の結果を発表。ニボルマブ点滴静注に対する非劣性が認められました。
オプジーボ皮下注、オプジーボ点滴静注と比較した2つの薬物動態項目(Cavgd28/ Cminss)で非劣性を示す
ブリストル マイヤーズ スクイブ社は2024年1月27日、CheckMate-67T試験の結果をASCO GU 2024で報告したことを発表しました。
CheckMate-67T試験は、全身療法による治療歴がある進行または転移性淡明細胞型腎細胞がん患者さん495人を対象に、ニボルマブ皮下注(ニボルマブとヒアルロニダーゼ)とニボルマブ点滴静注を比較した第3相試験です。主要評価項目はニボルマブ点滴静注との比較によるニボルマブ皮下注の初回投与後28日目までの平均血清中濃度(Cavgd28)、定常状態における最低血清中濃度(Cminss)で、副次的評価項目は奏効率などでした。
試験の結果、ニボルマブ皮下注はニボルマブ点滴静注と比較して2つの主要評価項目であるCavgd28とCminssの非劣性が認められました。また、ニボルマブ皮下注は、ニボルマブ点滴静注と比較した奏効率でも非劣性が認められました。それぞれの奏効率は24.2%と18.2%でした。無増悪生存期間の解析では、それぞれの中央値は7.23か月と5.65か月でした。
安全性に関しては、ニボルマブ皮下注はニボルマブ点滴静注と一貫しており、ニボルマブ皮下注の局所注射部位反応の発現率は8.1%でした。また、グレード3~4の有害事象の発現率は、ニボルマブ皮下注35.2%、ニボルマブ点滴静注40.8%でした。治療に関連した有害事象の発現率は、ニボルマブ皮下注9.7%、ニボルマブ点滴静注14.7%で、重篤な有害事象の発現率は、ニボルマブ皮下注21.1%、ニボルマブ点滴静注22.9%、治療に関連した重篤な有害事象の発現率は、どちらも6.5%でした。
Roswell Park Comprehensive Cancer Center内科部門の腫瘍内科教授兼ネットワーク臨床試験ディレクターであるSaby George医師は、次のように述べています。
「組み換えヒトヒアルロニダーゼを配合したオプジーボの皮下注のCheckMate-67T試験の結果は、医師や患者さんにとって、がん研究における画期的な進歩を示しています。免疫療法薬を皮下投与する選択肢があることは、がんと診断された患者さんが現在抱えている治療の負担を間違いなく減らすことができる上、ヘルスケアシステムを最大限に効率化することもできます。現状では、免疫療法薬の点滴静注は貴重な時間を費やすことになり、時間は患者さんにとっても治療する側の医師にとっても大変貴重なものです。だからこそ、オプジーボの皮下注が非劣性を示した今回の結果は、診療に変化をもたらし、5分以内に、また場合によっては点滴施設外で投与できる1回の注射により患者さんの治療を改善できる可能性があります」