膠芽腫を対象にホウ素中性子捕捉療法を評価する医師主導試験、開始準備整ったと筑波大学が発表

2024/04/10

文:がん+編集部

 難治性の悪性脳腫瘍「膠芽腫」を対象に、ホウ素中性子捕捉療法「BNCT」を評価する医師主導試験の開始準備が整ったことが発表されました。初発膠芽腫を対象としたBNCTの治験は世界初です。

全ての病変が取り切れないような難しい部位にある膠芽腫患者さん対象、BNCTの安全性と忍容性を評価する第1相試験

 筑波大学は2024年2月26日、膠芽腫を対象に、ホウ素中性子捕捉療法「BNCT」を評価する医師主導試験を開始する態勢ができたことを発表しました。

 膠芽腫は5年生存率が10%程度と低く、手術、放射線治療、化学療法を組み合わせた治療が行われますが、多くの患者さんが再発し、根治が困難とされています。今回開始予定の治験は、全ての病変が取り切れないような難しい部位に悪性腫瘍がある患者さんを対象に、BNCTの安全性と忍容性を評価することを目的とした医師主導の第1相試験で、12人から最大18人の患者さんが対象となる予定です。

 今回の治験では、新型の高出力中性子線源を用いたつくば型加速器BNCT装置「iBNCT001」とがん細胞に選択的に集まる性質を持つBNCT用ホウ素薬剤の治験薬「SPM-011」を用いた治療が評価されます。

 この第1相試験で安全性と忍容性が認められた場合は、治療の有効性を評価する第2相試験を実施し、有効性と安全性が認められた場合は、医療機器の承認を経て保険適応につながることが期待されます。

 今回のプロジェクトリーダーで筑波大学附属病院陽子線治療センター部長の櫻井英幸教授は、膠芽腫に対してのBNCTの強みを次のように述べています。

 「このプロジェクトは一言で言いますと、決して直すのが容易でないような、難治がんへの挑戦というようなふうに捉えている。今回の対象としましたこの膠芽腫について、これは人間にできるがんの中では極めて悪性のもので、がん細胞を選択的に狙い撃ちして、しかも非常に強い効果のあるような治療を提供しない限り、なかなか治療効果が上がらないと考えられる。今回我々が行っていますBNCTは、まさにそういった面でメカニズムが優れた治療です」