PARP阻害薬ターゼナ、BRCA遺伝子変異のある乳がん/前立腺がんの治療薬として発売

2024/05/16

文：がん＋編集部

　BRCA遺伝子変異のある乳がん／前立腺がんの治療薬としてPARP阻害薬タラゾパリブ（製品名：ターゼナ）が発売されました。

ターゼナ、PARP1とPARP2阻害し相同組換え修復遺伝子に変異がある腫瘍細胞の合成致死を誘導

　ファイザーは2024年4月23日、PARP阻害薬タラゾパリブを発売したことを発表しました。

　タラゾパリブは、DNA修復など細胞内で重要な役割を果たす酵素PARPの触媒活性抑制とトラッピングという2つの作用機序によりPARP1とPARP2を強力に阻害することで、相同組換え修復遺伝子に変異がある腫瘍細胞の合成致死を誘導する分子標的薬です。

　2024年1月18日に、「がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳がん」、およびタラゾパリブとエンザルタミドとの併用による「BRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移がある去勢抵抗性前立腺がん」の治療薬として承認を取得していました。

　同社の取締役執行役員オンコロジー部門長のジョンポール・プリシーノ氏は、次のように述べています。

　「今回のターゼナの発売により、乳がんと前立腺がんの患者さんへ新たな治療法をお届けし、アンメットメディカルニーズに貢献し続けられることを嬉しく思います。当社はこれまで、乳がん、腎がん、肺がん、血液がんを含むさまざまな種類のがんに対する治療薬や重要かつ有益な疾患情報を提供することで、患者さん、ご家族、医療従事者の皆様に貢献したいと考え、オンコロジー領域の事業を展開してまいりました。今後も関連学会や医療機関と連携し、自社医薬品の適正使用推進に努めるとともに、がんと闘う患者さんとそのご家族に新たな希望をお届けできるよう、今後も新薬の開発に取り組んでまいります」