胃・大腸がん検診と内視鏡検査に関する意識調査の結果を発表

2024/08/26

文:がん+編集部

 胃・大腸がん検診と内視鏡検査に関する意識調査の結果が発表されました。がん検診を受ける人と受けない人で二極化している実態が明らかになりました。

胃・大腸がん検診、非受診の約3割で 「自覚症状がないから」と回答

 オリンパス株式会社は2024年7月10日、全国の40~60代の男女1万4,100人を対象に2024年3月8日~3月21日に実施したインターネット調査結果について「胃・大腸がん検診と内視鏡検査に関する意識調査白書2024」を発行したことを発表しました。

 がんの死亡率低減を目的に、早期発見の手段として国は5つのがん種(胃がん・大腸がん・肺がん・乳がん・子宮頸がん)に関して検診の受診を推奨していますが、検診受診率は5割に満たないものが多く、国が目標とする60%に届いていません。特に、胃がん・大腸がんは、早期発見・早期治療により98%以上が治るにも関わらず、検診および精密検査ともに国が目標とする受診率に届いていないのが現状であり、死亡率が低減しない一つの要因になっています。

 同社は、がん検診および内視鏡検査について、一般市民の理解を深めることを目的に「胃・大腸がん検診と内視鏡検査に関する意識調査白書2024」を発行し、がん検診受診状況や、受診・非受診理由、内視鏡検査への意識などをまとめました。主な調査結果として、以下の3つが発表されました。

  • 「胃・大腸がんの早期発見・早期治療による治癒率は90%以上」の認識率は3割未満
  • がん検診、受ける人・受けない人で二極化
  • 胃・大腸がん検診非受診者のうち、約30%が非受診理由として 「自覚症状がないから」と回答

「胃・大腸がんの早期発見・早期治療による治癒率は90%以上」の認識率は3割未満

 意識調査の結果、「胃・大腸がんの早期発見・早期治療による治癒率は90%以上」ということを認識している人は全体の3割未満にとどまりました。また、治癒率60%未満と回答した人の割合は約3割と、事実と乖離した認識を持つ人も多数見られ、早期発見・治療によるメリットは、いまだ多くの人に認識されていない実態が明らかになりました。

がん検診、受ける人・受けない人で二極化

 また、対象年齢全体での胃がん・大腸がん検診受診率は、4割未満でした。検診受診/非受診者別に受診意識を見ると、検診受診者は「自覚症状がなくとも決められた受診間隔で受けるべき」と回答した人がいずれの検診でも約7割だったのに対し、非受診者は約2割にとどまりました。自覚症状の無い段階で定期的にがん検診を受診することが重要であるとの認識がまだ浸透していない実態が明らかになりました。

胃・大腸がん検診非受診者のうち、約30%が非受診理由として 「自覚症状がないから」と回答

 非受診者のうち、がん検診を受けない最多の理由として約30%が「特に自覚症状もないから」と回答。「検診は自覚症状がない人が受診対象」という考え方そのものを理解していない人が多いことが明らかになりました。

 今回の調査を監修した国立がん研究センター中央病院検診センターの小林望センター長は、次のように述べています。

 「今回の調査により、がん検診は、受ける人/受けない人で二極化が進んでいる実態がわかりました(5つのがん種全て)。検診受診者は、自覚症状がなくても決められた受診間隔で受けるべきと回答した人が約7割だったのに対し、非受診者は約2割と大きな差になりました。がんは早期の段階では自覚症状がほとんどないため、自覚症状のない方が検診を受診する必要がありますが、まだ検診の考え方そのものを誤解している方も多いことが伺えます。また今回、早期発見・早期治療による死亡率減少効果も、いまだ十分認識されていないことがわかりました。特に、胃・大腸がんについては早期発見・治療で98%以上が治ります。対象年齢で自覚症状の無い方は、早期発見の手段としてぜひ検診を受けるようにしましょう」