EPKINLY、再発または難治性の濾胞性リンパ腫の治療薬としてFDAが承認

2024/08/29

文:がん+編集部

 再発または難治性の濾胞性リンパ腫の治療薬として、エプコリタマブ(製品名:EPKINLY)を米国食品医薬品局(FDA)が承認しました。

有効性評価では、全奏効率が82%(完全奏効率60%/部分奏効22%)、追跡期間中央値14.8か月時点では半数以上が奏効を持続

 米アッヴィ社は2024年6月26日、再発または難治性の濾胞性リンパ腫の治療薬として、エプコリタマブをFDAが承認したことを発表しました。今回の承認は、EPCORE NHL-1試験の結果に基づくものです。

 EPCORE NHL-1試験は、2回以上の全身療法後の再発、進行または難治性のCD20陽性成熟B細胞非ホジキンリンパ腫の患者さんを対象に、エプコリタマブの安全性と有効性を評価した投与用量漸増パート、拡大パート、投与用量最適化パートの3つのパートで構成された第1/2相試験です。

 投与用量最適化パートでは、3段階ステップアップ用量レジメンが、グレード2のサイトカイン放出症候群を最少にし、グレード3以上のサイトカイン放出症候群を軽減する可能性が評価されました。

 拡大パートの主要評価項目は全奏効率、副次的評価項目は奏効期間、完全奏効率、完全奏効持続期間、無増悪生存期間、奏効までの期間、全生存期間、次の治療までの期間および微小残存病変陰性率などでした。

 投与用量最適化パートの主要評価項目は、グレード2以上のサイトカイン放出症候群の事象割合およびエプコリタマブの初回投与から2回目の総投与量での投与後7日間に認められるすべてのグレードのサイトカイン放出症候群でした。

 拡大パートの解析では、主要評価項目である全奏効率が82%(完全奏効率60%/部分奏効22%)でした。また、奏効が認められた患者さん(追跡期間中央値14.8か月時点)の半数以上で、治療の効果が維持されていました。

 安全性に関しては、エプコリタマブ目標用量48mgを評価した結果、20%以上の高い頻度で見られた有害事象は、注射部位反応、サイトカイン放出症候群、新型コロナウイルス感染症、疲労、上気道感染、筋骨格痛、発疹、下痢、発熱、咳、頭痛でした。

 投与用量最適化コホートの解析では、サイトカイン放出症候群低減のために3段階ステップアップ用量レジメンで評価を行い、初回投与については入院を必須としませんでした。3段階ステップアップ用量レジメンでエプコリタマブを投与された濾胞性リンパ腫患者さんにおいて、グレード3のサイトカイン放出症候群は認められませんでした。

 オレゴン州ユージーンのウィラメットバレーがん研究所に所属し、サラ・キャノン研究所のヘマトロジー領域の疾患責任者であるJeff Sharman医師は、次のように述べています。

 「再発または難治性の濾胞性リンパ腫の患者さんは、重大な治療課題に直面し、現時点では診療現場で使用できる明確な標準治療がありません。EPCORE NHL-1試験の濾胞性リンパ腫のコホートだけでなく、この試験の再発または難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者さんでも認められた効果は、これらの患者さんに対してEPKINLYが重要な治療選択肢となる可能性を示しています」