ベルズチファン、根治切除不能または転移性の腎細胞がんの治療薬として国内申請

2024/09/03

文:がん+編集部

 根治切除不能または転移性の腎細胞がんの治療薬として、経口低酸素誘導因子2アルファ(HIF-2α)阻害薬ベルズチファンが国内申請されました。

ベルズチファン、アフィニトールと比較して無増悪生存期間を統計学的有意に延長

 MSD株式会社は2024年7月22日、根治切除不能または転移性の腎細胞がんに対する効能・効果で、ベルズチファンの製造販売承認申請を行ったことを発表しました。今回の承認は、LITESPARK-005試験の結果に基づくものです。

 LITESPARK-005試験は、PD-1またはPD-L1阻害薬とVEGFR-TKIを逐次または同時に用いた治療後に進行した、切除不能な局所進行または転移性の淡明細胞型腎細胞がん患者さん746人を対象に、ベルズチファンとエベロリムス(製品名:アフィニトール)を比較した第3相試験です。主要評価項目は無増悪生存期間でした。

 試験の結果、ベルズチファンはエベロリムスとの比較において無増悪生存期間の統計学的有意かつ臨床的に意味のある延長を認めました。安全性に関しては、これまでに報告されている安全性プロファイルと一貫していました。

 ベルズチファンは、VHLタンパク質の機能が喪失しているがん細胞において、HIF-2αとHIF-1βのヘテロ二量体形成を選択的に阻害することにより、血管新生、増殖および腫瘍代謝に関連する低酸素下誘導遺伝子の転写を阻害し抗腫瘍効果を発揮するHIF-2α阻害薬です。