「ジェンベルリ+化学療法」、初発進行または再発の子宮体がんの治療薬としてFDAが承認

2024/09/27

文:がん+編集部

 初発進行または再発の子宮体がんの効能・効果について、「ドスタルリマブ(製品名:ジェンベルリ)+化学療法」が米国食品医薬品局(FDA)より承認されました。

「ジェンベルリ+化学療法」、「プラセボ+化学療法」と比較して死亡リスクを31%低下

 グラクソ・スミスクラインは2024年8月1日に、「ドスタルリマブ+化学療法」が初発進行または再発の子宮体がんの効能・効果についてFDAから承認されたことを発表しました。今回の承認は、RUBY試験の結果に基づくものです。

 RUBY試験は、初発進行または再発の子宮体がんの患者さんを対象に、2つのパートで構成された第3相試験です。パート1では、ドスタルリマブをカルボプラチンおよびパクリタキセルと併用投与した後にドスタルリマブを投与したグループと、プラセボをカルボプラチンおよびパクリタキセルと併用投与した後にプラセボを投与したグループが比較されました。パート2では、ドスタルリマブをカルボプラチンおよびパクリタキセルと併用投与した後にドスタルリマブとニラパリブ(製品名:ゼジューラ)を併用投与したグループとプラセボをカルボプラチンおよびパクリタキセルと併用投与した後にプラセボを投与したグループとが比較されました。

 パート1の主要評価項目は、治験責任医師の判定による無増悪生存期間と全生存期間でした。パート2の主要評価項目は、全患者さんおよびミスマッチ修復機能またはマイクロサテライト安定性の患者さんに対する無増悪生存期間(治験責任医師判定)、主要な副次的評価項目は全患者さんに対する全生存期間でした。またパート1およびパート2の副次的評価項目は、盲検下独立中央判定による無増悪生存期間、全奏効率、奏効期間、疾患コントロール率、患者さんの報告によるアウトカム、安全性、忍容性などでした。

 パート1の結果、「ドスタルリマブ+化学療法」は「プラセボ+化学療法」と比較して死亡リスクを31%低下。全生存期間の統計学的有意な延長が認められました。2.5年時点での生存率は、それぞれ「ドスタルリマブ+化学療法」61%、「プラセボ+化学療法」49%で、全生存期間の中央値で16.4か月の改善が認められました。

 安全性に関しては、これまでに認められている個々の薬剤の安全性プロファイルと概ね一致していました。また、「ドスタルリマブ+化学療法」で主に認められた有害事象(20%以上)は、悪心、脱毛症、倦怠感、末梢神経障害、貧血、関節痛、便秘、下痢、筋肉痛、発疹、低マグネシウム血症、食欲減退、末梢性感覚ニューロパチー、嘔吐でした。

 ワシントン大学医学部婦人腫瘍科長であり、RUBY試験の米国担当治験責任医師であるマシュー・パウエル医師は、次のように述べています。

 「ジェンベルリと化学療法との併用療法の最初の承認時は、ミスマッチ修復機能欠損または高頻度マイクロサテライト不安定性を有する初発進行または再発の患者さんに対する診療のあり方を変えるものでした。今回の適応拡大により、さらに多くの患者さんの転帰の改善が期待されます。この治療法は、全患者集団において、統計学的に有意な全生存期間の延長を示した唯一のがん免疫療法であり、治癒困難な子宮体がんの治療における大きな前進です」

 がん経験者で、アフリカ系アメリカ人のための子宮体がん活動ネットワークの設立メンバーであり会長のエイドリアン・ムーア氏は、次のように述べています。

 「ジェンベルリと化学療法との併用療法の適応拡大は、子宮体がんのコミュニティが待ち望んでいた新たな治療法をもたらしました。初発進行または再発の子宮体がん患者さんがより長く生存できる可能性があり、患者さんとそのご家族にとって希望となります。これは、がん患者さんや支援者の方々にとっても喜ばしいニュースであり、特に、子宮体がんと診断された米国のより多くの患者さんが新たな治療選択肢を持てるようになることを嬉しく思います」