進行性固形がん患者さん対象、抗体薬物複合体「DS-9606」を評価した第1相試験結果をESMOで発表
2024/10/25
文:がん+編集部
進行性固形がん患者さんを対象に、抗体薬物複合体DS-9606を評価した第1相試験の結果が欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表されました。安全性と予備的有効性が確認されました。
DS-9606、抗CLDN6抗体と改変されたピロロベンゾジアゼピンで構成された抗体薬物複合体
第一三共株式会社は2024年9月17日、DS-9606を評価した第1相試験の用量漸増パートにおける結果をESMOで報告したことを発表しました。
今回報告された第1相試験は、CLDN6発現の進行性固形がん患者さんを対象に、DS-9606の安全性、忍容性、予備的有効性を評価した臨床試験です。用量漸増パートでは、前治療歴のある固形がん患者さん(卵巣がん、胚細胞がん、胃/食道がん、非小細胞肺がん、膵臓がん、乳がん、子宮内膜がん)53人を対象に、DS-9606の投与量を段階的に増やしながら安全性と忍容性が評価されました。
安全性に関しては、DS-9606の投与量0.016mg/kgから0.225mg/kgにおいて、用量制限毒性は認められませんでした。有害事象の内訳は、皮膚関連が17%と最も多く報告されましたが、その大部分がグレード1でした。グレード3以上の有害事象は30.2%の患者さんに認められ、貧血(3.8%)、腹痛(3.8%)、胸水貯留(3.8%)などが認められました。
予備的有効性に関しては、客観的奏効は4人(胚細胞がん2人、胃/食道がん1人、非小細胞肺がん1 人)に認められました。評価可能な胚細胞がん患者さん7人のうち、客観的奏効が確認された2人は6か月以上治療を継続し、5人は腫瘍マーカーが90%以上減少しました。
DS-9606は、抗CLDN6抗体と改変されたピロロベンゾジアゼピンで構成された抗体薬物複合体です。CLDN6は、子宮内膜がん、卵巣がん、胃がん、胚細胞がん、非小細胞肺がんを含む複数のがんで発現しているタンパク質の一種で、がんの進行や予後の悪化に関係していると言われています。
同社は、次のように述べています。
「用量展開パートにおける推奨用量を決定するために患者登録を継続し、今後、本剤の効果が期待できるがん種を特定してまいります」