【週刊】がんプラスPickupニュース(2024年11月5日)

2024/11/05

文:がん+編集部

早期TNBCの周術期キイトルーダ併用療法、術前化学療法単独より死亡リスクを34%減

 MSDは2024年9月15日、高リスク早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)を対象に、周術期ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)併用療法と術前の化学療法単独を比較したKEYNOTE-522試験の結果を発表しました。周術期のペムブロリズマブ併用療法では、術前のペムブロリズマブと化学療法の併用療法と、それに続く術後のペムブロリズマブ単独療法が行われました。解析の結果、周術期ペムブロリズマブ併用療法は、術前化学療法単独と比較して死亡リスクを34%低減し、全生存期間の有意な改善が認められました。

前立腺がんの予後を左右する因子の特定に成功

 近畿大学は2024年10月23日、前立腺がんのホルモン療法の効果に影響を与え、予後を左右する因子を特定したことを発表しました。研究グループは、遠隔転移がなく、ホルモン療法を受けた前立腺がん患者さんの診療データを解析。その結果、前立腺がん患者さんが、ホルモン療法開始後に糖尿病や高血圧症を発症した場合、ホルモン療法の効果が弱まり、予後が不良となることが判明しました。また、前立腺がん発症前から脂質異常症治療の薬剤を服用していた患者さんは、長期にわたってホルモン療法の効果が持続し、再発が起こりにくくなっていることもわかりました。研究成果は、ホルモン療法を受けている前立腺がん患者さんにおいて、がんの再発を予測する手がかりとなり、ホルモン療法の効果を持続させるためにも役立つことが期待されます。

日本人ゲノム解析から創製のタスフィゴ、胆道がん治療薬として国内承認

 国立がん研究センターは2024年10月23日、FGFRキナーゼ阻害薬タスルグラチニブ(製品名:タスフィゴ)が、「がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道がん」の効能・効果で国内承認されたことを発表しました。この承認はE7090-J000-201試験の結果をもとに行われ、同試験では客観的奏効率30%、臨床的有効率51%が認められました。タスルグラチニブの創製にあたっては、従来のFGFR阻害薬とは異なる遺伝子診断法としてFISH法を用いていることから、遺伝子パネル検査では見落とされるような染色体構造異常を持った症例にも適応できる可能性があります。