個別化医療に向けたマルチプレックス遺伝子パネル検査、先進医療として承認

文:がん+編集部

国がん中央病院で、マルチプレックス遺伝子パネル検査を開始

 国立がん研究センターとシスメックス株式会社は4月3日、がん関連遺伝子パネル検査システムを用いて行う「個別化医療に向けたマルチプレックス遺伝子パネル検査」が、4月1日に先進医療として承認され、同検査を4月9日より国立がん研究センター中央病院で開始すると発表しました。

 がん関連遺伝子パネルは、がんの診療を行う上で重要な複数の遺伝子変異や増幅、融合を同時に解析できる診断薬のことです。国立がん研究センターが開発した遺伝子診断パネル(NCCオンコパネル)は、日本人に特徴的な遺伝子変異を適切に診断できるように設計されています。

 先進医療とは、今は保険診療の対象になっていない医療技術で、厚生労働大臣の承認を受けたものを指します。2004年12月の厚生労働大臣と内閣府特命担当大臣(規制改革、産業再生機構)、行政改革担当、構造改革特区・地域再生担当との「基本的合意」に基づいて、国民の安全性を確保し、患者さんの負担増大を防止するといった観点も踏まえつつ、国民の選択肢を拡げ、利便性を向上するという観点から、保険診療との併用を認めることとしています。

 がん治療では、がんの確定診断に加え、薬剤の効果予測や、再発モニタリングなど、遺伝子やタンパク質を用いた多くの検査が行われています。その中でも、がん組織の多数の遺伝子を一度に測定することで、患者さんのがん固有の遺伝子変化を分析し、がんの診断や治療、抗がん薬の選定に役立つ情報を抽出する「がんクリニカルシーケンス検査」が現在注目されています。

 これまで国立がん研究センターとシスメックスは、新たながん診断法開発のさらなる促進を目的として、2015年10月に国際品質基準に準拠したSysmex Cancer Innovation Laboratoryを中央病院内に開設するとともに、国立がん研究センターが開発したNCCオンコパネルとこれを測定する次世代シーケンサーを用いて患者さんのがん組織の網羅的な遺伝子解析を行い、治療方針の決定や投薬の判断などへ活用する「がん関連遺伝子パネル検査システム」の共同開発を進めてきました。

 また、臨床現場における早期活用に向け、中央病院での臨床研究TOP-GEAR(トップ-ギア)プロジェクトで検証を行い、がん関連遺伝子パネル検査システムに関する体外診断用医薬品・医療機器の先駆け審査指定制度対象品目として指定を受けています。同時に、がん関連遺伝子パネル検査システムで行う個別化医療に向けたマルチプレックス遺伝子パネル検査の先進医療申請を行ってきました。

 今回、個別化医療に向けたマルチプレックス遺伝子パネル検査が、先進医療として承認されたことを受けて、同検査を国立がん研究センター中央病院にて開始します。また、患者さんの受診機会拡大を目的に、先進医療協力施設でも実施する予定だといいます。採取された全ての検体は、シスメックスの子会社であり、遺伝子受託解析サービスなどを提供する株式会社理研ジェネシスのイノベーションゲノムセンターで測定を実施するとしています。