PD-L1発現率を測定する病理検査用の検査キットを発売

2018/05/17

文:がん+編集部

 がん組織または細胞中に発現するPD-L1タンパクを検出する病理検査用の検査キットが発売されました。扁平上皮がん患者さんを対象に、免疫チェックポイント阻害剤のアテゾリズマブ(製品名:テセントリク)を適切に投与するための判定補助に使用されます。

扁平上皮がんへのアテゾリズマブ投与のための判定補助に使用

 ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社は5月10日、がん組織または細胞中に発現するPD-L1タンパクを検出する病理検査用の検査キットの「ベンタナ OptiView PD-L1(SP142)」を5月10日に発売したと発表しました。

 ベンタナOptiView PD-L1(SP142)は、非小細胞肺がんの一種である扁平上皮がんを対象に、免疫チェックポイント阻害剤のアテゾリズマブ(製品名:テセントリク)を適切に投与するための判定補助に使用されます。

 アテゾリズマブは、がん細胞に発現しているPD-L1を標的とした免疫チェックポイント阻害剤です。がん細胞を攻撃するT細胞の表面に発現しているPD-1やB7.1とPD-L1が結合するとT細胞の働きが阻害され、T細胞の攻撃からがん細胞が逃れてしまいます。アテゾリズマブは、このPD-L1と結合することで、PD-1やB7.1とPD-L1の結合を阻害します。この作用により、T細胞からの攻撃から逃れていたがん細胞に対して、再びT細胞が攻撃できるようにします。

 日本の肺がん患者さんのうち、約80%は非小細胞肺がんだとされています。非小細胞肺がんは、さらに扁平上皮がんと腺がん、大細胞がんに分類され、扁平上皮がんは肺がん全体の約20%を占めるといわれ、喫煙者に多くみられることが特徴です。