イミフィンジ、切除不能なステージIII非小細胞肺がんを対象に全生存期間を有意に延長

2018/10/03

文:がん+編集部

 切除不能なステージIII非小細胞肺がんを対象に、イミフィンジが全生存期間(OS)を有意に延長したことが発表されました。イミフィンジは、2018年8月29日に日本で発売しています。

標準治療と比べて死亡リスクを32%低減

 英アストラゼネカ社米メディミューン社は9月25日、免疫チェックポイント阻害薬デュルバルマブ(製品名:イミフィンジ)について、切除不能な局所進行(ステージIII)非小細胞肺がん患者さんを対象とした第3相臨床試験PACIFIC試験の全生存期間(OS)※1のデータを、第19回世界肺癌学会(WCLC)で発表しました。

 PACIFIC試験の結果、PD-L1発現の有無に関わらず、デュルバルマブは標準治療と比べてOSを有意に延長させ、死亡リスクを32%低減させたそうです。デュルバルマブの安全性と忍容性※2については、今までのものと一貫していました。プラセボを投与した患者さんと比べて、デュルバルマブを投与した患者さんによくみられた有害事象は、咳、疲労、呼吸困難などでした。

 がん細胞は、その細胞の表面に発現する「PD-L1」が、T細胞の表面に発現する「PD-1」と結合することで、T細胞からの攻撃を抑制します。免疫チェックポイント阻害薬は、この結合を阻止することで、T細胞の攻撃力を復活させます。

 デュルバルマブは、がん細胞に発現するPD-L1を標的とした薬です。切除不能なステージIIIの非細胞肺がんにおける根治的化学放射線療法後の維持療法を効能・効果として、2018年8月29日に発売されました。

※1 患者さんの亡くなった原因ががんによるかどうかは関係なく、生存していた期間のことです。
※2 薬による有害事象(副作用)に、どのくらい耐えられるかの程度を認容性といい、有害事象に十分耐えられるときは「忍容性が高い」、耐えられないときは「忍容性が低い」と表現されます。