免疫チェックポイント阻害剤オプジーボ、治療中止後も長期間の副作用モニタリングが必要?

文:がん+編集部

 免疫チェックポイント阻害剤のオプジーボによる肺がん治療では、治療を中止した後も同剤の影響が20週以上も残ることが判明し、長期間の副作用モニタリングが必要なことが示されました。

オプジーボによる治療が中止となった非小細胞肺がん患者さんを対象に研究

 大阪大学大阪市立大学は10月9日、肺がんに対する免疫チェックポイント阻害剤ニボルマブ(製品名:オプジーボ)による治療の影響が、治療中止後も20週以上にわたり継続する可能性が示唆されたと発表しました。

 がん細胞では、細胞表面に発現する「PD-L1」が、T細胞の表面に発現する「PD-1」と結合することで、T細胞からの攻撃を抑制します。免疫チェックポイント阻害薬は、この結合を阻止することでT細胞の攻撃力を復活させる薬剤です。ニボルマブは、PD-1を標的とする免疫チェックポイント阻害剤です。

 近年、免疫チェックポイント阻害剤を用いたがん免疫療法の有効性が証明され、肺がんなど、さまざまながん種を対象に治療の適応が拡大されています。一方で、免疫チェックポイント阻害剤を用いた治療では、治療効果が認められる患者さんが限られることや、免疫療法ならではの特徴的な副作用を起こすことなど、さまざまな課題があります。また、ニボルマブによる治療を中止した後の長期間の薬物動態モニタリングが行われた研究はなく、どのくらいの期間、治療の効果や副作用が持続するのかは明らかになっていませんでした。

 研究グループは、大阪大学医学部附属病院国立病院機構刀根山病院において、ニボルマブを投与された非小細胞肺がん患者さんのなかで治療中止となった患者さんの血液を用いて、研究を行いました。その結果、Tリンパ球とニボルマブの結合の状態は「完全結合」「部分結合」「結合なし」という3つの状態に分けられることが判明し、ニボルマブによる治療中止後も20週間以上にわたり、「完全結合」の状態が維持されることが明らかになったそうです。

大阪大学

画像はリリースより

 肺がんでは、ニボルマブの投与を中止した後に抗がん剤を投与することが多くあります。どのような抗がん剤治療を行っても、Tリンパ球上にニボルマブは結合したままの状態であり、ニボルマブの結合に影響しないことも明らかとなりました。

 今回の研究結果より、ニボルマブの投与を中止した後もその治療効果は一部残っており、ニボルマブ中止後に比較的早期に抗がん剤治療を行った症例では、抗がん剤とニボルマブの併用治療のような状態となっている可能性が示唆されました。これは、治療の観点では、相乗効果が望めることからプラスに働くと考えられます。しかし、副作用の観点では、治療を中止した後も影響が長期間残ると考えられ、ニボルマブをはじめとした抗PD-1抗体による治療を行っている患者さんでは、長期間の副作用モニタリングが必要だということが示されました。

 研究グループは、「治療抗体の結合だけでなく、Tリンパ球の活性化状態を同時にモニターすることは、次の治療薬の効果を評価したり、副作用をマネジメントしたりする際に有効である可能性が期待されます」と述べています。