「エントレクチニブ」がん種を問わず、10種類以上の固形がんで奏功

文:がん+編集部

 臨床開発中の「エントレクチニブ」が、がん種を問わず、NTRK融合遺伝子陽性の固形がん患者さんで腫瘍縮小効果があったそうです。乳がん胆管がん大腸がん婦人科がん神経内分泌腫瘍非小細胞肺がん唾液腺がん膵臓がん肉腫甲状腺がんを含む広範囲の固形がんを対象に臨床試験が行われています。

脳転移も1/4の患者さんで完全奏功、半数以上で縮小

 中外製薬株式会社は10月22日、第2相臨床試験STARTRK-2と第1相臨床試験STARTRK-1、第1相臨床試験ALKA-372-001の統合解析の結果を発表しました。この発表は、戦略的アライアンスを締結しているエフ・ ホフマン・ラ・ロシュ社が10月21日の発表を元にしたものです。

 3つの臨床試験の統合解析では、NTRK融合遺伝子陽性の固形がん患者さんの半数以上で腫瘍の縮小が認められ、投与開始時の中枢神経系への転移の有無にかかわらず、10種類以上の固形がんで、エントレクチニブは奏功を認めたそうです。特筆すべき結果として、中枢神経系に転移している腫瘍を、半数以上の患者さんで縮小させ、1/4以上の患者さんでは完全奏功※1を示したと報告しています。安全性に関しては、これまでと同様だったそうです。

 エントレクチニブは、ROS1融合遺伝子陽性の局所進行または転移性非小細胞肺がんとNTRK1/2融合遺伝子陽性の局所進行または転移性固形がんを対象として開発中の分子標的薬です。ROS1とTRKファミリーを選択的に阻害するチロシンキナーゼ阻害薬※2で、脳転移巣への作用も期待できます。現在、乳がん、胆管がん、大腸がん、婦人科がん、神経内分泌腫瘍、非小細胞肺がん、唾液腺がん、膵臓がん、肉腫、甲状腺がんを含む広範囲の固形がんを対象に臨床試験が行われており、これらのがん種でも有効性が期待されます。

STARTRK-1 、STARTRK-2、ALKA-372-001の統合解析

NTRK融合遺伝子陽性の固形がん

奏効率:57.4%、54例中31例

投与開始時の中枢神経系への転移の有無にかかわらず、10種類の固形がん

奏効期間中央値:10.4か月

中枢神経系に転移している腫瘍

頭蓋内奏効率:54.5%、11例中6例、1/4以上で完全奏効

※1:腫瘍が完全に消失した状態です。
※2:細胞が増殖するための情報伝達物質(酵素)をチロシンキナーゼといい、 この情報伝達酵素を阻害するのがチロシンキナーゼ阻害薬です。