リムパーザ、BRCA遺伝子変異陽性卵巣がんで病勢進行または死亡リスクを70%低減

文:がん+編集部

 PARP阻害薬オラパリブ(製品名:リムパーザ)が、 BRCA遺伝子変異陽性の進行卵巣がん患者さんの病勢進行または、死亡リスクを70%低下させた治験の結果が発表されました。

BRCA遺伝子変異陽性進行卵巣がんの60%で3年間病勢進行せず

  アストラゼネカ株式会社は10月23日、BRCA遺伝子変異陽性の進行卵巣がんを対象とした第3相試験SOLO-1試験の結果を発表しました。

  SOLO-1試験は、プラチナ製剤を含む標準的な化学療法による初回治療後に完全奏功※1または部分奏功※2しているBRCA遺伝子変異陽性の進行卵巣がん患者さんに対するオラパリブの有効性と安全性をプラセボと比較した第3相臨床試験です。

 同試験の結果、オラパリブ投与群はプラセボ投与群との比較で、病勢進行または死亡リスクを70%低減させ、統計学的にも臨床的にも有意な無増悪生存期間※3の延長を示したそうです。36か月時点での病勢進行は、オラパリブ投与群60%、プラセボ投与群27%で見られませんでした。安全性に関しては、過去の臨床試験の結果と一貫しており、20%以上の発現率で最もよく見られた有害事象は、悪心(77%)、疲労・無力症(63%)、嘔吐(40%)、貧血(39%)、下痢(34%)でした。

 同試験の共同治験統括医師かつ米オクラホマ大学Stephenson Cancer Centerの臨床研究部副部長であるKathleen Moore氏は「多くの卵巣がん患者さんは、残念ながら長期生存率が非常に低い進行がんの段階で診断されます。ひとたび卵巣がんが再発すると、概ね根治不可能なため、新規に診断された時点が持続的な寛解を達成する最善の機会です。SOLO-1試験の結果は、治療のより早期からのリムパーザによる維持療法の可能性を示すとともに、診断時に患者さんのBRCA遺伝子変異の有無を把握することの重要性を強調しています。すなわち、本結果は進行BRCA遺伝子変異卵巣がん患者さんの治療法を変える可能性を秘めています」とコメントしています。

SOLO-1試験

対象:BRCA遺伝子変異陽性の進行卵巣がん
条件:プラチナ製剤を含む標準的な化学療法を受け完全奏功または部分奏功を示している患者
登録数:391人(2対1で割付)
被験薬:オラパリブ
対照薬:プラセボ
実験群:オラパリブ投与群
対照群:プラセボ投与群
主要評価項目:無増悪生存期間
主な副次的評価項目:2次進行もしくは死亡までの期間および最初の後治療開始までの期間、全生存期間※4

※1:腫瘍が完全に消失した状態です。
※2:腫瘍の大きさの和が30%以上減少した状態です。
※3:奏効例(完全または30%の部分消失)で治療中にがんが進行せず安定した状態の期間のことです。
※4:患者さんの亡くなった原因ががんによるかどうかは関係なく、生存していた期間のことです。