ベージニオ発売、HR陽性HER2陰性の手術不能・再発乳がんでの適応
2018/12/11
文:がん+編集部
ホルモン受容体陽性、HER2陰性の手術不能または再発乳がんに対する新薬が発売されました。CDK4/6を阻害する分子標的薬です。
CDK4/6阻害剤で唯一連日投与が可能
日本イーライリリー株式会社は11月30日、アベマシクリブ(製品名:ベージニオ)を発売したことを発表しました。ホルモン受容体陽性、HER2陰性の手術不能または再発乳がんを対象とした分子標的薬です。
アベマシクリブは、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)の4および6に対して選択的に阻害することで、細胞周期を停止させ、がん細胞の増殖を抑制します。CDK4/6阻害薬としては、唯一連日投与が可能な経口薬です。
アベマシクリブが承認される根拠となった臨床試験はMONARCH2試験です。MONARCH2試験は、ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の内分泌療法治療歴のある手術不能または再発乳がん患者さん669人が対象です。フルベストラント(製品名:フェソロデックス)併用下で、アベマシクリブとプラセボを比較して、病態の悪化などが認められるまで継続投与されました。その結果、プラセボに対してアベマシクリブは、無増悪生存期間※1の延長が認められています。アベマシクリブとフルベストラントの併用療法の主な副作用は、下痢、好中球減少症、悪心、感染症、疲労でした。
日本イーライリリー オンコロジー事業本部本部長の勝間英仁氏は「CDK4および6阻害剤で唯一連日投与が可能で、がん細胞の細胞周期を停止させ続けることが期待されるベージニオが、進行再発乳がんの新たな治療選択肢として患者さんやご家族に希望をもたらすものとなるよう、私たちは適正使用の推進に全力を尽くしてまいります」とコメントしています。
MONARCH2試験
対象:乳がん
条件:ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳がん
フェーズ:第3相試験
試験デザイン:無作為化二重盲検プラセボ対照国際共同試験
登録数:669
試験群:アベマシクリブ+フルベストラント併用療法
対照群:プラセボ+フルベストラント併用療法
主要評価項目:無増悪生存期間
副次的評価項目:全生存期間※2、奏効率※3、奏功持続期間ほか
※1:奏効例(完全または30%の部分消失)で治療中にがんが進行せず安定した状態の期間のことです。
※2:患者さんの亡くなった原因ががんによるかどうかは関係なく、生存していた期間のことです。
※3:治療によって、がんが消失または30%以上小さくなった患者さんの割合のことです。完全奏効(CR)(腫瘍が完全に消失)と、部分奏効(PR)(腫瘍が30%以上小さくなる)を足して、治療患者の総数で割ったものです。