頭頸部がんを対象としたイミフィンジとトレメリムマブの治験でOSの改善を達成せず

2018/12/19

文:がん+編集部

 頭頸部がんを対象としたデュルバルマブ(製品名:イミフィンジ)とトレメリムマブによる治験の結果が報告されました。主要評価項目である全生存期間※1の改善を達成しなかったそうです。

イミフィンジ単剤、トレメリムマブとの併用でも全生存期間は改善せず

  英アストラゼネカ社は12月7日、頭頸部がんを対象としたデュルバルマブとトレメリムマブの第3相臨床試験EAGLE試験の結果を発表しました。

 EAGLE試験は、 PD-L1発現を問わず、白金製剤による化学療法後に病勢進行した再発性・転移性の頭頸部扁平上皮がん患者さんを対象とした多施設共同無作為化非盲検国際第3相試験です。デュルバルマブ単剤療法または、デュルバルマブとトレメリムマブ併用療法と標準化学療法を比較した結果、主要評価項目である全生存期間の改善を達成しませんでした。併用療法の安全性と忍容性はこれまでに得られている結果と一貫しています。

 同社のグローバル医薬品開発担当エグゼクティブバイスプレジデント兼チーフメディカルオフィサーであるSean Bohen氏は「再発性または転移性頭頸部扁平上皮がんの予後は非常に悪く、このがん腫の新たな治療薬が早急に必要とされています。今回の結果は残念ですが、当社は引き続き、頭頸部がん患者さんのためのイミフィンジやその他の革新的医薬品の可能性を評価することに注力し続けていきます。当社は、2019年上半期の化学療法による治療歴のない再発性または転移性頭頸部扁平上皮がん患者さんを対象とするイミフィンジとトレメリムマブの第3相KESTREL試験の結果に期待しています」とコメントしています。

EAGLE試験

対象:頭頸部扁平上皮がん
条件:白金製剤による化学療法後に病勢進行した再発性・転移性の頭頸部扁平上皮がん
フェーズ:第3相臨床試験
試験デザイン:無作為化、並行群間比較試験
登録数:736人
試験群:デュルバルマブ+トレメリムマブ併用療法
試験群:デュルバルマブ単剤療法
対照群:標準化学療法
主要評価項目:全生存期間
副次的評価項目:PD-L1陰性患者の全生存期間、無増悪生存期間※2、客観的奏効率※3ほか

※1:患者さんの亡くなった原因ががんによるかどうかは関係なく、生存していた期間のことです。
※2:奏効例(完全または30%の部分消失)で治療中にがんが進行せず安定した状態の期間のことです。
※3:治療によって、がんが消失または30%以上小さくなった患者さんの割合のことです。完全奏効(CR)(腫瘍が完全に消失)と、部分奏効(PR)(腫瘍が30%以上小さくなる)を足して、治療患者の総数で割ったものです。