前立腺がん、アパルタミドの治験で盲検解除

2019/02/15

文:がん+編集部

 転移性ホルモン感受性前立腺がんに対するアパルタミド(米国製品名:アリーダ)とアンドロゲン除去療法(ADT)の併用療法を評価する治験で、盲検解除が発表されました。盲検解除により、これまでプラセボ+ADTを受けていた患者さんも、アパルタミド+ADT併用療法が受けられるようになります。

無増悪生存期間・全生存期間ともに達成

 米ヤンセン社は2月6日に、転移性ホルモン感受性前立腺がん患者に対する有用性を評価する臨床試験「TITAN試験」で2つの主要評価項目を達成したことをうけ、これまで二重盲検で行われていましたが、プラセボ群の患者さんもアパルタミド併用療法を受ける機会を設けることになったことを発表しました。

 TITAN試験は、転移性でホルモン感受性の前立腺がん1052人を対象とした第3相無作為化二重盲検試験です。アパルタミド+ADT併用療法とプラセボ+ADTを比較して、無増悪生存期間※1や全生存期間※2などで有効性が評価されました。

 ヤンセン・リサーチ&ディベロップメント社オンコロジー臨床開発部門のバイスプレジデントであるMargaret Yu博士は「TITAN試験は、転移の広がりに関わらず転移性ホルモン感受性前立腺がんと新たに診断された患者さんを対象としてアパルタミドとアンドロゲン除去療法の併用療法の有効性と忍容性を評価することを目的としてデザインされました。新たな治療選択肢に対するアンメットニーズが依然として大きいため、引き続き転移性前立腺がん患者さんに対するアパルタミドの価値についてさらに理解を深めてまいります」とコメントしています。

 アパルタミドは、転移のない去勢抵抗性前立腺がん患者さんに対するアンドロゲン受容体阻害薬として、米国食品医薬品局の承認を1年前に取得しています。米国泌尿器学会の去勢抵抗性前立腺がんガイドラインにも、この併用療法は、転移への進展リスクの高い非転移性去勢抵抗性前立腺がん患者さんに対して、臨床医が提示すべき治療選択肢の1つとして含まれています。今回の試験の結果、転移がある患者さんでも有効性が示されたことで、治療可能な患者さんが増えることが期待されます。

TITAN試験

対象:転移性前立腺がん
条件:ホルモン感受性の患者
フェーズ:第3相臨床試験
試験デザイン:無作為化二重盲検試験
登録数:1052人
試験群:アパルタミド+ADT
対照群:プラセボ+ADT
主要評価項目:無増悪生存期間、全生存期間
副次的評価項目:化学療法開始までの期間、痛みの増悪までの期間、オピオイドの慢性使用までの期間、骨関連事象までの期間

※1:奏効例(完全または30%の部分消失)で治療中にがんが進行せず安定した状態の期間のことです。
※2:患者さんの亡くなった原因ががんによるかどうかは関係なく、生存していた期間のことです。