ジカディアが用法・用量の変更承認を取得、副作用の低減に期待
2019/02/28
文:がん+編集部
ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんの治療薬セリチニブ(製品名:ジカディア)の用法・用量の一部変更承認が取得されました。主な副作用である消化器症状の低減が期待されます。
食後450mg投与、奏効率も高く副作用発現も少なく
ノバルティスファーマ株式会社は2月21日、セリチニブの用法・用量を450mg1日1回食後投与に変更するための製造販売承認事項の一部変更承認を取得したことを発表しました。これまでセリチニブの用法・用量は750㎎1日1回空腹投与でしたが、今回の承認取得により、主な副作用である悪心・嘔吐、下痢などの消化器症状の低減が期待されます。今回の承認は、ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発非小細胞肺がん患者さん267人が参加した治験ASCEND-8試験の結果に基づくものです。
ASCEND-8試験は、ステージ3Bまたは4でクリゾチニブ(製品名:ザーコリ)による治療を1回受けたことがある患者さんを対象に行われました。セリチニブ食後450mg投与群、食後600mg、空腹時750mg群で比較した結果、奏効率※1は、食後450mg群78.0%、空腹時750mg群で70.0%でした。食後450mg群89例中74例で認められた主な副作用は、下痢50.6%、γ-GTP増加25.8%、嘔吐24.7%などでした。空腹時750mg群90例中82例で認められた主な副作用は、下痢70.0%、嘔吐46.7%、悪心45.6%、ALT(GPT)増加30.0%、AST(GOT)増加27.8%、腹痛22.2%、疲労20.0%などでした。
今回の承認について、ノバルティス オンコロジー ジャパンのプレジデントであるブライアン・グラッツデン氏は「患者さんの安全と健康は、ノバルティスの最優先事項です。今回の用法・用量の変更は、『ジカディア』の副作用のひとつである消化器症状を緩和することにより、患者さんのQOL改善へとつながる重要な第一歩です」とコメントしています。
ASCEND-8試験
対象:ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発非小細胞肺がん
条件:ステージ3Bまたは4でクリゾチニブによる治療を1回受けたことがある患者さん
フェーズ:第3相臨床試験
試験デザイン:無作為化、平行群間、非盲検
登録数:318人
試験群1:セリチニブ450mg食後1日1回投与
試験群2:セリチニブ600mg食後1日1回投与
対照群:セリチニブ750mg空腹時1日1回投与
主要評価項目:セリチニブの血漿中濃度(試験22日目)
副次的評価項目:安全性プロファイル、セリチニブの血漿中濃度(試験1日目)、客観的奏効率、奏功期間
※1完全奏効(CR)(腫瘍が完全に消失)と、部分奏効(PR)(腫瘍が30%以上小さくなる)を足して、治療患者の総数で割ったものです。奏効例(完全または30%の部分消失)で治療中にがんが進行せず安定した状態の期間のことです。