PD-L1検査キット、乳がんへの適応拡大を申請

2019/03/06

文:がん+編集部

 免疫チェックポイント阻害薬アテゾリズマブ(製品名:テセントリク)乳がんへの適応拡大に伴い、PD-L1の病理検査用キット「ベンタナ OptiView PD-L1(SP142)」の一部変更承認申請が行われました。

トリプルネガティブ乳がん、新たな治療選択のための判定補助として期待

 ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社は2月26日、がん組織または細胞中のPD-L1発現率の測定に用いられる病理検査用キット「ベンタナ OptiView PD-L1(SP142)」の一部変更承認申請を行ったことを発表しました。アテゾリズマブの乳がんへの適応拡大の申請に伴うものです。今回の申請は、国際共同第3相臨床試験「IMpassion130試験」の成績に基づきます。

 IMpassion130試験は、切除不能な局所進行性または転移性のトリプルネガティブ乳がんに対して行われ、全身薬物療法を受けていない患者さんが対象です。アテゾリズマブ+nab-パクリタキセル(製品名:アブラキサン)併用群とプラセボ+nab-パクリタキセル群で比較して、有効性と安全性が評価されました。その結果、アテゾリズマブ併用群が、無増悪生存期間※1を有意に改善しました。この試験の際に、PD-L1の発現率の検討に「ベンタナ OptiView PD-L1(SP142)」が使用されました。

 「ベンタナ OptiView PD-L1 (SP142)」は、免疫組織化学法を測定原理とする検査キットです。扁平上皮非小細胞肺がんの患者さんに対して、アテゾリズマブを適切に投与するための判定補助を目的として、すでに販売されています。今回の申請により、トリプルネガティブ乳がんの患者さんの新たな治療選択のための、判定補助としての役割が期待されます。

IMpassion130試験

対象:切除不能な局所進行性または転移性のトリプルネガティブ乳がん
条件:全身薬物療法を受けていない患者
フェーズ:第3相臨床試験
試験デザイン:ランダム化、多施設共同、盲検試験
登録数:900人
試験群:アテゾリズマブ+nab-パクリタキセル
対照群:プラセボ+nab-パクリタキセル
主要評価項目:無増悪生存期間、全生存期間※2
副次的評価項目:奏効率、安全性

※1:奏効例(完全または30%の部分消失)で治療中にがんが進行せず安定した状態の期間のことです。
※2:患者さんの亡くなった原因ががんによるかどうかは関係なく、生存していた期間のことです。