卵巣がん、悪性と良性を術前に予測

文:がん+編集部

 卵巣腫瘍が悪性か良性かを術前に診断するための予測アルゴリズムが開発されました。卵巣がん患者さんの年齢と術前血液検査データで予測するとのことです。

術前血液検査データで卵巣がんの予後予測の可能性も

 理化学研究所は4月15日に、卵巣腫瘍患者さんの年齢および術前血液検査データ32項目に基づいて、教師あり機械学習を用いることで悪性腫瘍と良性腫瘍を非常に精度良く予測する手法を開発したと発表しました。同研究所の科技ハブ産連本部健康医療データAI予測推論開発ユニットの川上英良ユニットリーダーらの共同研究チームによるものです。

 教師あり機械学習とは、血液検査などの入力データと、既にわかっている良性や悪性といった正解ラベル・正解数値のセットに基づいて、入力データのパターンから正解を当てるための学習をコンピュータに行わせる方法です。

 共同研究チームは、2010~2017年に東京慈恵会医科大学産婦人科で治療を受けた334人の悪性卵巣腫瘍の患者さんと、101人の良性卵巣腫瘍の患者さんのデータを解析しました。その結果、教師あり機械学習で非常に精度の良い予測ができるとわかりました。さらに、同じ血液検査データに基づいて、がんの進行期や組織型などの予測を行ったところ、進行期も組織型も、比較的良い予測精度だったそうです

 進行期予測は、良性・悪性の鑑別に比べ精度が良くなかったため、入力データが持つ複雑なパターンやサンプル間の類似性を発見する教師なし機械学習(正解レベルなし)という方法で、検討が試みられました。その結果、早期がんは「良性腫瘍によく似た血液検査パターン」と「進行がんによく似た血液検査パターン」の2つに分類されました。また、良性腫瘍によく似たパターンでは再発がほとんどなかったのに対し、進行がんによく似たパターンでは、再発率と死亡率が高いことがわかり、予後との強い関連を示すことがわかりました。この良性腫瘍によく似た早期卵巣がんのパターンは、従来使われているステージI、IIとは異なるもので、術前血液検査データという全身状態をみることで見つかった、全く新しい分類です。

 今回の研究成果により、術前の血液検査データから高い精度で卵巣腫瘍の良性・悪性と予後の良い早期卵巣がんパターンを予測して、手術前に治療方針の決定に関して有益な情報が得られるようになる可能性があります。