トラスツズマブ デルクステカン、HER2陽性の再発・転移性乳がんの治験で効果を示す

2019/05/16

文:がん+編集部

 HER2陽性の再発・転移性乳がん患者を対象としたトラスツズマブ デルクステカンの第2相臨床試験の結果が発表されました。臨床的に意義のある効果が示されたそうです。

HER2低発現乳がんでも臨床試験を実施中

 第一三共株式会社とアストラゼネカは5月8日、HER2に対する抗体薬物複合体ADCトラスツズマブ デルクステカンの、HER2陽性の再発・転移性乳がんを対象とした第2相臨床試験DESTINY-Breast01の結果、臨床的に意義のある効果が示されたと発表しました。

 DESTINY-Breast01試験は、トラスツズマブ エムタンシン(製品名:カドサイラ)の治療を受けたHER2陽性の再発・転移性乳がん患者さん253人を対象倒したグローバル第2相臨床試験です。本試験の主要評価項目である客観的奏効率は、トラスツズマブ デルクステカンの第1相臨床試験の結果と同様の傾向が認められ、新たな安全性への懸念は認められませんでした。

 トラスツズマブ デルクステカンは、HER2低発現乳がんやほかのがん種を対象とした臨床試験も実施中です。米国食品医薬品局から、HER2陽性の再発・転移性乳がん治療を対象として画期的治療薬指定およびファストトラック指定を受けています。厚生労働省からは、がん化学療法後に増悪したHER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃がんに対する治療として先駆け審査指定も受けています。