アカラブルチニブ、再発・難治性CLL患者さんの無増悪生存期間を改善

2019/05/27

文:がん+編集部

 前治療のある慢性リンパ性白血(CLL)病患者さんを対象とした、アカラブルチニブの治験の結果、無増悪生存期間の改善が示されました。

ASCEND試験、主要評価項目を達成し早期終了

 アストラゼネカは5月15日に、前治療歴のあるCLL患者さんを対象としたアカラブルチニブの第3相ASCEND試験の結果を発表しました。

 ASCEND試験は、前治療歴のあるCLL患者さん310人を対象に行われ、アカラブルチニブ単剤とリツキシマブ(製品名:リツキサン)ベースのイデラリシブ(製品名:ザイデリグ)またはベンダムスチン(製品名:トレアキシン)併用を比較しました。アカラブルチニブ群は、病勢進行が認められるまで100mgを1日2回投与されました。その結果、アカラブルチニブ単剤療法は、リツキシマブをベースに医師の選択したイデラリシブまたはベンダムスチンとの併用療法と比較して、統計学的かつ臨床的意義のある無増悪生存期間(PFS)の改善を示しました。また、アカラブルチニブの安全性および忍容性はこれまでに報告されているプロファイルと一致していました。

 ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)シグナルは、B細胞の増殖、輸送、走化、接着に必要な情報伝達系の活性化を引き起こします。アカラブルチニブは、このBTKに共有結合することで阻害する国内未承認の分子標的薬です。アカラブルチニブのCLLを対象とした治験は、ASCEND試験のほか、前治療歴のないCLL患者さんを対象としたELEVATE-TN(ACE-CL-007)試験も行われており、試験結果の報告が予定されています。

 同社のオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントであるJosé Baselga は「アカラブルチニブは再発または難治性CLLを対象とした第3相試験において、現在の標準治療である併用療法と比較して、単剤療法で初めて効果を示したBTK阻害薬です。今後の学術集会等で詳細な結果を報告できることを期待しています」と、述べています。