慢性リンパ性白血病、ベネトクラクス+ガザイバ併用がFDAに承認

2019/06/03

文:がん+編集部

 治療歴のない慢性リンパ性白血病に対して、ベネトクラクス+オビヌツズマブ(製品名:ガザイバ)の併用療法が、米国食品医薬品局(FDA)に承認されました。

ベネトクラクス+ガザイバ併用は標準治療に比べ、進行・死亡リスクが67%低下

 米アッヴィ社は5月15日に、ベネトクラクス+オビヌツズマブ併用療法が、治療歴のない慢性リンパ性白血病または小リンパ球性リンパ腫に対して、FDAに承認されたと発表しました。治療歴のない慢性リンパ性白血病に対する化学療法を含まない、一定投与期間の経口併用療法を検討する無作為化臨床試験として、ベネトクラクスとオビヌツズマブの併用療法を評価した第3相 CLL14試験のデータに基づくものです。

 CLL14試験は、ベネトクラクスとオビヌツズマブの併用療法と、標準治療のクロラムブシルとオビヌツズマブの併用療法を受けた患者さんで比較した、前向き多施設共同非盲検無作為化試験です。28か月(中央値)の追跡調査の結果、標準治療群に比べてベネトクラクスとオビヌツズマブの併用療法群で、進行または死亡リスクが67%低下していました。同試験で認められた有害事象は、ベネトクラクスとオビヌツズマブ単剤による安全性プロファイルと一致していたそうです。ベネトクラクスとオビヌツズマブ併用療法を受けた患者さんの49%に重篤な副作用が報告され、最も多く報告された副作用は、発熱性好中球減少症と肺炎でした。グレードを問わず多く発現した副作用は、好中球減少症、下痢、疲労、悪心、貧血、上気道感染でした。

 ベネトクラクスは、B細胞リンパ腫2(BCL-2)タンパク質に対し、選択的に結合することで阻害する分子標的薬です。BCL-2は、がん細胞のアポトーシスという自然死や自己破壊の過程を阻止するため、このBCL-2を阻害することで、がん細胞のアポトーシスを促進させます。

 同試験の主導医師、ドイツのケルン大学病院内科部長兼総合腫瘍センター長、かつGerman CLL Study Group長のマイケル・ハレック医師は「治療歴のないCLL患者さんは、初期治療として主に化学療法に頼らなければなりませんでした。ベネトクラクスの併用療法が承認されたことは、疾患の進行を伴わず生存期間を延長し、微小残存病変(MRD)陰性率を高め、 重要な点として、12か月以内に治療を完了し、一定投与期間の化学療法を含まない治療を、治療歴のないCLL患者さんに新たな選択肢として提供できるようになることを意味します。このことは、治療歴のないCLL患者さんの病状を管理する点で大きな前進であり、CLL治療においてベネトクラクスが提供する有益性が高まっていることを、さらに裏付けるものとなりました」と、述べています。