がん光免疫療法の治験、安全性・有効性ともに良好(ASCO発表より)

2019/06/05

文:がん+編集部

 局所再発頭頸部がんを対象としたがん光免疫療法の第2a相試験の結果が、米国臨床腫瘍学会(ASCO)で発表されました。安全性と有効性で良好な結果が得られたそうです。

がん光免疫療法、第3相臨床試験LUZERA-301も実施中

 楽天メディカル社は6月3日に、局所再発頭頸部がんを対象としたRM-1929によるがん光免疫療法の第2a相臨床試験の結果をASCOで発表しました。全奏効率43%、有害事象も限定的で、全般的に良好な忍容性でした。

 本治験では、複数の前治療歴がある再発頭頸部がん患者さん30人に対して、RM-1929によるがん光免疫療法が行われました。その結果、全奏効率は43%で、そのうち完全奏功が13%、部分奏功が30%でした。無増悪生存期間の中央値は5.2か月、全生存期間の中央値は9.3か月でした。重篤な有害事象が確認された患者さんは43.3%で、そのうちRM-1929による光免疫療法との関連性が考えられる患者さんは10%でした。また同時に、がん光免疫療法の国際共同第3相臨床試験「LUZERA-301」の概要もASCOで発表されています。

 現在実施中のLUZERA-301試験は、1種類以上のプラチナ製剤をベースとした全身化学療法を含む、少なくとも2種類以上の治療歴のある局所再発頭頸部がんが対象です。RM-1929と同一成分のASP-1929を使った光免疫療法と医師が選択した標準療法を比較して、全生存期間、無増悪生存期間、客観的奏効率などで評価されます。米国、欧州、アジア太平洋地域の約275人の患者さんが対象となります。

 がん光免疫療法は、EGFRと選択的に結合するセツキシマブ(製品名:アービタックス)に光吸収体であるIR-700を付加した複合体であるASP-1929を患者さんに投与したあと、赤外線を病変に照射することで、IR-700が赤外線に反応して発熱し、がん細胞の細胞膜が変性する仕組みにより、がん細胞を破壊する治療法です。また、破壊されたがん細胞は、免疫を誘導します。

 同社の副社長で臨床開発本部長であるJeannie Houは「私たちは、がん患者さんが抱える、治療に対するアンメットニーズに挑戦しています。今回発表された第Ⅱa相臨床試験の結果は、この挑戦を後押しする内容となりました。第Ⅱa相臨床試験の結果により、がん細胞を選択的に標的化する抗体を活用した薬剤と、局所照射を組み合わせることで、正常組織への影響を最小限に抑えた、頭頸部がんへの治療の可能性が示唆されました。この結果を踏まえ、次の国際共同第Ⅲ相臨床試験も期待したいと思います」と、述べています。