肝臓がん、オプジーボ+ヤーボイ併用療法が有望な可能性

2019/06/20

文:がん+編集部

 進行肝細胞がんに対するニボルマブ(製品名:オプジーボ)とイピリムマブ(製品名:ヤーボイ)併用療法の治験の結果、がん免疫療法薬併用の可能性が示されました。

オプジーボとヤーボイの併用療法の奏効率は31%

 米国ブリストル・マイヤーズスクイブ社は6月3日に、ソラフェニブ(製品名:ネクサバール)による治療歴がある進行肝細胞がん患者さんを対象とした第1/2相CheckMate-040試験の結果を、米国臨床腫瘍学会で報告したことを発表しました。本試験の結果、ニボルマブとイピリムマブ併用療法が肝細胞がんの治療として有望な可能性が示されたそうです。

 CheckMate-040試験は、慢性ウイルス性肝炎の併発の有無にかかわらず、ソラフェニブ未治療、ソラフェニブに不耐、またはソラフェニブ治療中に病勢進行した進行肝細胞がん患者さんを対象に、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法を3つの投与法で評価した臨床試験です。

 A群は、ニボルマブ1mg/kg+イピリムマブ3mg/kgを3週間間隔で4回投与し、続けてニボルマブ240mgを2週間間隔で投与しました。B群は、ニボルマブ3mg/kg+イピリムマブ1mg/kgを3週間間隔で4回投与し、続けてニボルマブ240㎎mgを2週間間隔で投与しました。C群は、ニボルマブ3mg/kg+イピリムマブ1mg/kgを6週間間隔で投与しました。

 その結果、すべての群で有意義な奏功が認められ、A群では30か月時点の生存率が44%でした。病勢コントロール率は、A群54%、B群43%、C群49%で、全グループ合わせた場合の完全奏効率は5%、部分奏功率が26%でした。奏功は、PD-L1の発現にかかわらず認められたそうです。併用療法の安全性に関しても忍容可能で、イピリムマブの追加投与による新たな安全性シグナルは認められなかったとのことです。

 香港大学医学部の臨床准教授のThomas Yau医師は「肝細胞がんは、治療選択肢が限定的であり、また、現在がん免疫療法薬の併用療法による治療選択肢に含まれていない進行期に診断されることが多く、大きなアンメットニーズが残されています。今回の結果では、進行肝細胞がん患者さんにおいて、オプジーボとヤーボイの併用療法が有望な臨床効果を示しており、改めてこの併用療法における研究が重要で潜在的な可能性を秘めていることが示されました」と、述べています。