「患者さんが選べるように、公平な立場から伝えていくことが大切」並木幹夫先生インタビュー

本記事は、株式会社法研が2011年7月24日に発行した「名医が語る最新・最良の治療 前立腺がん」より許諾を得て転載しています。
前立腺がんの治療に関する最新情報は、「前立腺がんを知る」をご参照ください。

父親の前立腺がんをみずから手術。ホルモン療法を加えて快癒し、この療法の重要性を実感。

並木幹夫先生

 並木先生は子どものころ腎臓を患ったことがあり、医師を志すきっかけの一つになりました。
 「泌尿器科を選んだのも、腎移植に興味をもったからです」
 博士号取得のときにホルモンについて研究したこともあり、並木先生は前立腺がんのホルモン療法には若いころから関心をもっていたそうです。
 しかし、ホルモン療法の効果を本当の意味で実感したのは、父親が前立腺がんになったことが契機となりました。1991年、並木先生はみずから父親の前立腺がんの手術を手がけることになります。
 「当時、前立腺がんの手術はまだ歴史が浅く、ほかの方に頼むのも申し訳ないので、自分でリスクを引き受けるしかないと思ったのです。父のがんは前立腺の被膜外まで浸潤していて、悪性度もそこそこ高いがんでした。叔父が病理医で、手術に追加してホルモン療法を行うべきだと強く主張したこともあり、術後に女性ホルモン薬での治療を5年間行いました。むくみなどの副作用も出たのですが、91歳の今も元気です。ホルモン療法をうまく使うことが患者さんのためになることを実感したできごとでした。その後、新しい薬も登場し、また多くの患者さんを治療するなかで、ホルモン療法の重要性について、確信を深めています」
 一方、父親の手術の前年に前立腺がんを治療した患者さんで、もう一人、並木先生には忘れられない人がいるといいます。

並木先生の忘れられない人とは
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並木幹夫(なみき・みきお)先生

並木幹夫先生

金沢大学附属病院 泌尿器科教授
1950年神奈川県生まれ。大阪大学医学部卒。
国立大阪病院などを経て、1995年から現職。2008年金沢大学附属病院副院長。日本アンドロロジー学会理事長。