初めは「不本意だった」前立腺がん担当 鈴木啓悦先生インタビュー

本記事は、株式会社法研が2011年7月24日に発行した「名医が語る最新・最良の治療 前立腺がん」より許諾を得て転載しています。
前立腺がんの治療に関する最新情報は、「前立腺がんを知る」をご参照ください。

治療期間の長い前立腺がん。ゆっくり治療しながら、人生を充実させてほしいのです。

鈴木啓悦先生

 鈴木先生は解剖学の授業で腎臓を見て、きれいな臓器だと感動したといいます。
 「腎臓を扱う外科ということで、泌尿器科を選びました。ところが、大学院で専門を決める際に、当時の教授から、『君は前立腺がんの担当』と割り振られてしまったのです。今では前立腺がんといえば、治療法もたくさんあり、患者さんも増えていて、医師としてとてもやりがいを感じているのですが、当時はPSA検診も普及しておらず、前立腺がんの治療といえば、精巣(せいそう)(睾丸(こうがん))を摘出して女性ホルモン薬の点滴をする以外に治療法がありませんでした。初めは不本意だったのです。もちろん、今は前立腺がんを専門にできて本当によかったと思っています」
 化学療法については、前立腺がんに効く抗がん薬がなかなかみつかりませんでした。
 「2004年にアメリカでドセタキセルがFDA(米食品医薬品局。日本の厚生労働省に当たる)から認可を受けて、ようやく前立腺がんに効く抗がん薬がみつかったのです。日本では2008年に前立腺がんにもドセタキセルの健康保険が適用されました」
 鈴木先生には忘れられない患者さんがいます。千葉大学に勤務していたときの患者さんで、建築関係の仕事をしていた人でした。

鈴木先生が忘れられない患者さんとは
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鈴木啓悦(すずき・ひろよし)先生

鈴木啓悦先生

東邦大学医療センター佐倉病院 泌尿器科教授
1965年東京都生まれ。千葉大学医学部卒。米ジョンズ・ホプキンス大学医学部オンコロジーセンター研究員、千葉大学准教授、同診療教授などを経て、2010年から現職。2011年東邦大学医療センター佐倉病院院長補佐、医療連携・患者支援センター部長。