「今や『がん=手術』ということはありません」斉藤史郎先生インタビュー

本記事は、株式会社法研が2011年7月24日に発行した「名医が語る最新・最良の治療 前立腺がん」より許諾を得て転載しています。
前立腺がんの治療に関する最新情報は、「前立腺がんを知る」をご参照ください。

これはいける──と思ってから5年、満を持して新治療法に挑戦しました。知識と技術の普及にも努めています。

斉藤史郎

 斉藤先生が国立病院機構東京医療センターに赴任したのは1997年のことでした。
 「それまで私も前立腺がんの手術をたくさん経験していましたが、アメリカで行われている小線源療法にも興味をもっていました。当時、国立病院機構東京医療センターでは、放射線科の土器屋卓志先生(現・埼玉医科大学国際医療センター)が、口腔(こうくう)がんの治療にイリジウムを使った小線源療法を実践なさっていたので、これを前立腺がんの治療に応用できるのではないかと思ったのが、そもそものきっかけです」
 斉藤先生の赴任が4月、イリジウムを使った小線源療法の開始が12月。十数本のイリジウム線源を前立腺に刺して、70時間留置し、その後線源を取り出すという治療法です。放射線の取り扱いに慣れている先達の医師やスタッフがいたことが、大きな後押しになったようです。
 当時、高線量のイリジウムを用いた小線源療法を実施している施設はありましたが、斉藤先生が使ったのは、低線量のイリジウム線源で、これを前立腺がんの治療に使ったのは日本で初めてのこと。斉藤先生はこの治療を5年間で約150例実施しました。

斉藤先生が使った低線量のイリジウム線源による治療とは
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国立病院機構東京医療センター 泌尿器科医長
1956年東京都生まれ。慶應義塾大学医学部卒。1992年、米ニューヨークのMemorial Sloan-Kettering Cancer Centerに3年間留学。帰国後、慶應義塾大学医学部泌尿器科講師を経て、1997年から現職。2003年9月、日本で初めてヨウ素125を用いた密封小線源永久挿入療法を実施。国内における前立腺がんの小線源療法の普及に貢献、その指導的立場にある。