アカラブルチニブ、慢性リンパ性白血病の治験で無増悪生存期間を延長
2019/07/08
文:がん+編集部
再発または難治性の慢性リンパ性白血病に対する治験で、アカラブルチニブが無増悪生存期間を延長しました。
アカラブルチニブ、病勢進行または死亡リスクを69%低減
英国のアストラゼネカ社は6月17日に、再発または難治性の慢性リンパ性白血病に対する第3相ASCEND試験の中間解析を欧州血液学会で報告したと発表しました。
ASCEND試験は、再発または難治性の慢性リンパ性白血病患者さん310人を対象に、アカラブルチニブ単独療法とリツキシマブ+イデラリシブまたはベンダムスチン併用療法を比較して、無増悪生存期間、全奏効率、奏功期間、全生存期間などで評価しました。今回報告された中間解析では、12か月時点で無増悪を維持した患者さんの割合は、アカラブルチニブ群で88%、リツキシマブ併用群68%で、統計学的に有意に無増悪生存期間の改善がみられ、病勢進行または死亡リスクは69%低減しました。
アカラブルチニブは、ブルトンチロシンキナーゼ(BTK)を選択的に阻害する分子標的薬です。BTKは、細胞の表面から細胞の核内遺伝子へ増殖シグナルを伝達する酵素で、B細胞の増殖、輸送、走化、および接着に必要な情報伝達系の活性化を引き起こすことが知られています。アカラブルチニブは、このBTKに結合して活性を阻害し、増殖シグナルを遮断してがん細胞を破壊します。
ミラノのビタサルートサンラファエル大学の臨床腫瘍学教授で、ASCEND試験の担当であるPaolo Ghia医師は「本試験はBTK阻害剤の単剤療法と、標準治療である免疫化学療法もしくはイデラリシブとリツキシマブの併用療法とを直接比較した最初の無作為化試験です。無増悪生存期間の有意な改善と良好な安全性プロファイルにより、アカラブルチニブは再発または難治性慢性リンパ性白血病患者さんの重要な治療選択肢となるでしょう」と、述べています。