バベンチオ+インライタ併用、切除不能・転移性腎細胞がんで適応拡大
2020/01/23
文:がん+編集部
アベルマブ(製品名:バベンチオ)が、アキシチニブ(製品名:インライタ)との併用療法で、根治切除不能または転移性の腎細胞がんに対する効能・効果で適応拡大の承認を取得しました。
PD-L1発現を問わず、バベンチオ+インライタ併用が病勢進行・死亡リスクを31%低減
メルクバイオファーマは2019年12月20日、「根治切除不能または転移性の腎細胞がん」の治療薬として、ファイザーと共同開発中の抗PD-L1抗体アベルマブの製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを発表しました。未治療の進行腎細胞がんを対象とした第3相試験「JAVELIN Renal 101」の結果に基づくものです。
JAVELIN Renal 101は、未治療の切除不能または転移の腎細胞がんの患者さん886人を対象として、アベルマブ+アキシチニブ併用と、スニチニブ(製品名:スーテント)単剤を比較して、有効性と安全性を評価した臨床試験です。主要評価項目はPD-L1陽性患者集団(発現率1%以上)における無増悪生存期間と全生存期間です。重要な副次評価項目としてPD-L1の発現を問わない全患者集団の無増悪生存期間と全生存期間でも評価されました。
中間解析の結果、PD-L1陽性集団だけでなく、PD-L1の発現を問わない全患者集団においても、統計学的に有意な無増悪生存期間の延長を示しました。PD-L1の発現を問わない全患者集団の無増悪生存期間中央値は、アベルマブ+アキシチニブ併用群で13.8か月、スニチニブ単独群で8.4か月(ハザード比:0.69;片側検定p値=0.0001)でした。全生存期間に関しては、中間解析の時点ではアベルマブ+アキシチニブ併用群で良好な傾向がみられましたが、十分に集積されておらず継続中です。安全性に関しては、新たな知見は認められず、いずれも従来の安全性プロファイルと一貫していました。
同社代表取締役社長 アレキサンダー・デ・モラルト氏は、次のように述べています。
「進行腎細胞がんは一次治療においても今でも高いアンメットメディカルニーズが存在する領域で、このような治療困難ながんに苦しむ多くの患者さんは、新たな治療選択肢を切望されています。本日、免疫チェックポイント阻害剤・バベンチオと、すでに標準薬として広く普及しているインライタを併用する治療が承認され、患者さんとそのご家族に新しく画期的な本併用療法をお届けできることを嬉しく思います。メルクは、がんと腫瘍免疫領域におけるグローバル・スペシャリティ・イノベーターとして、日本を含む世界中の患者さんの利益のために、医薬品の情報提供および新たな治療法による科学の発展に貢献できるよう、これからも努力を惜しまず進んでまいります」