モボセルチニブ、EGFRエクソン20挿入変異を伴う転移性非小細胞肺がんに対しFDAがブレークスルー・セラピーに指定

2020/05/19

文:がん+編集部

 EGFRエクソン20挿入変異を伴う転移性非小細胞肺がんに対する治療薬「モボセルチニブ (開発コード:TAK-788)」が、米国食品医薬品局(FDA)からブレークスルー・セラピーに指定されました。

第1/2相臨床試験では、無増悪生存期間が7.3か月、全奏効率43%

 武田薬品工業は4月28日、EGFRチロシンキナーゼであるモボセルチニブが、プラチナ製剤をベースとした化学療法を実施中、あるいは実施後に病勢が進行したEGFRエクソン20挿入変異を伴う転移性非小細胞肺がんに対する治療薬として、FDAがブレークスルー・セラピーに指定したことを発表しました。今回の指定は、モボセルチニブの有効性と安全性を評価する第1/2相臨床試験の結果に基づくものです。

 現在進行中の同試験では、治療歴があるEGFRエクソン20挿入変異を伴う患者さんを対象に、モボセルチニブを1日1回160mgが投与されています。試験の結果、無増悪生存期間の中央値が7.3か月、全奏効率が43%でした。モボセルチニブとの因果関係が否定できない主な有害事象は、下痢、悪心、発疹、嘔吐、食欲不振でした。

 肺がん患者でアドボケートを務め、「EGFR Resisters」の共同設立者であるジル・フェルドマン氏は、次のように述べています。

 「ほとんどのEGFR変異は、既存のチロシンキナーゼ阻害薬の標的となり得るものの、エクソン20挿入変異を伴う患者さんは、既存のEGFR阻害薬の効果があまり期待できないため、しばしば苦しみを伴い、忘れ去られた感覚になります。モボセルチニブが、既存の治療オプションがない本疾患の患者さんの延命につながる可能性に期待しています」