サークリサ、再発多発性骨髄腫の治験で無増悪生存期間を延長
2020/06/09
文:がん+編集部
再発性の多発性骨髄腫に対するイサツキシマブ(製品名:サークリサ)を評価した第3相試験で、病勢進行と死亡リスクが有意に低下しました。
カルフィルゾミブ・デキサメタゾン併用療法にサークリサ追加投与で有効性を示す
仏サノフィは5月12日、再発性の多発性骨髄腫患者さんに対し、カルフィルゾミブ・デキサメタゾン併用療法にイサツキシマブを追加する治療法を検討した、第3相IKEMA試験の第1回の中間解析結果を発表しました。
IKEMA試験は、過去に1~3つの前治療歴のある再発性の多発性骨髄腫患者さん302人が対象の臨床試験です。カルフィルゾミブ(製品名:カイプロリス)とデキサメタゾン併用療法に、イサツキシマブの上乗せ効果を評価されました。カルフィルゾミブ20/56mg/m2の週2回投与と標準用量のデキサメタゾンを投与した患者さんに対し、イサツキシマブ10mg/kgを 4週間点滴静注し、その後28日を1サイクルとして隔週投与されました。主要評価項目は無増悪生存期間、副次的評価項目は奏効率、微小残存病変、完全奏効率、全生存期間、安全性などでした。
中間解析の結果、主要評価項目の無増悪生存期間を達成し、病勢進行または死亡リスクの低下が確認されました。安全性に関しては、新たな安全性シグナルは認められませんでした。
イサツキシマブは、多発性骨髄腫細胞に発現しているCD38受容体にある特異的な抗原を標的とする分子標的薬です。CD38と結合したイサツキシマブが目印となり、免疫細胞ががん細胞を攻撃しやすくします。また、がん細胞のアポトーシスや免疫調整によるさまざまな作用により抗腫瘍効果発揮します。
同社のグローバル研究開発担当ヘッドのジョン・リード医学博士は、次のように述べています。
「今回の第3相試験では、標準治療法であるカルフィルゾミブ・デキサメタゾン併用療法にサークリサを追加投与することによって、病勢進行と死亡のリスクが有意に低下することが明確に示されました。今回の試験は、サークリサで肯定的な結果が得られた第3相試験としては2つめの試験にあたり、本剤が再発性の多発性骨髄腫に苦しむ患者さんの転帰の改善をもたらす可能性をさらに示す結果が得られました」