バベンチオ、局所進行・転移性の尿路上皮がんの一次化学療法の維持療法として国内申請
2020/06/22
文:がん+編集部
アベルマブ(製品名:バベンチオ)が、局所進行または転移性の尿路上皮がんに対する一次化学療法の維持療法として、国内承認申請されました。
JAVELIN Bladder 100試験では、バベンチオ+BSC併用はBSC単独に対し全患者の全生存期間を有意に延長
メルクバイオファーマは5月28日、ファイザーと共同開発中の抗PD-L1抗体アベルマブについて、局所進行または転移性の尿路上皮がんに対する一次化学療法の維持療法として、厚生労働省に承認申請を行ったことを発表しました。第3相JAVELIN Bladder 100試験の結果などに基づくものです。
JAVELIN Bladder 100試験は、プラチナ製剤を含む化学療法後に病勢進行が認められなかった局所進行または転移性の尿路上皮がん患者さん700人を対象とした臨床試験です。維持療法としてアベルマブ+ベスト・サポーティブ・ケア(BSC)のグループと、BSC単独のグループに分けられました。主要評価項目は、全患者さんおよびPD-L1陽性の患者さんの全生存期間。副次的評価項目は、それぞれのグループの無増悪生存期間、抗腫瘍効果、安全性、薬物動態、免疫原性、バイオマーカー、患者報告アウトカムなどでした。
試験の結果、アベルマブとBSC併用療法は、BSC単独療法と比較して全生存期間を有意に延長しました。アベルマブの治療による統計学的に有意な全生存期間の延長は、全患者さんおよび PD-L1陽性の患者さんのいずれにおいても認められました。また、アベルマブの安全性プロファイルは、他のJAVELIN試験におけるアベルマブ単独療法で認められたものと一貫していました。
同社取締役研究開発本部長の松下信利氏は、次のように述べています。
「本年のASCO Virtual(バーチャル米国臨床腫瘍学会)において、進行性尿路上皮がんに対する一次化学療法の維持療法において、ベスト・サポーティブ・ケア(BSC)と比較したアベルマブの全生存期間のベネフィットを示した、第3相JAVELIN Bladder 100試験結果の詳細に関する初めての発表(演題番号LBA1)が5月31日(日)のプレナリーセッションで行われる予定です。本臨床試験で行ったアベルマブを用いた維持療法はこれまでにない概念であり、本治療が標準治療として定着することを期待しており、この度の申請は患者さんのベネフィットを向上する機会を創出するための、新たな第一歩です」
また、共同開発中のファイザーR&D合同会社社長の石橋太郎氏は、次のように述べています。
「尿路上皮がんは進行すると治療が難しく、全生存期間を改善する新たな治療法が求められています。アベルマブは、進行尿路上皮がんに対する一次化学療法の維持療法として、臨床試験で統計学的に有意な全生存期間の延長が認められた最初の免疫チェックポイント阻害薬で、速やかに新効能追加を申請できたことを嬉しく思います。新たな治療選択肢を必要とする患者さんとご家族により多くの希望をお届けできるよう、今後も革新的な薬剤の開発を進めてまいります」