タグリッソ、ステージ1B~3A期のEGFR陽性非小細胞肺がんの術後補助療法としてFDAが画期的治療薬に指定

2020/09/01

文:がん+編集部

 オシメルチニブ(製品名:タグリッソ)が、ステージ1B~3A期のEGFR陽性の非小細胞肺がんの術後補助療法として、米国食品医薬品局(FDA)から画期的治療薬の指定を受けました。

ステージ1B~3A期の非小細胞肺がん患者さんの再発または死亡リスクを79%低減

 英アストラゼネカは7月30日、オシメルチニブが、治癒目的の腫瘍完全切除後の早期ステージEGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん患者さんに対する術後補助療法として、米国で画期的治療薬指定を取得したことを発表しました。今回の指定は、第3相ADAURA試験のデータに基づくものです。

 ADAURA試験は、腫瘍完全切除および術後補助療法としての化学療法を伴う1B期、2期、3A期のEGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん患者さん682人を対象に、術後補助療法としてオシメルチニブまたはプラセボを投与、比較した臨床試験です。オシメルチニブ80mgを1日1回投与し、3年間または再発するまで継続し有効性と安全性を評価しました。主要評価項目は、2期または3A期の患者さんの無病生存期間、副次的評価項目は1B~3A期の患者さんの無病生存期間でした。解析の結果、1B~3A期の患者さんの無病生存期間の延長が認められ、再発または死亡リスクが79%低下しました。

 ステージ1Bの非小細胞肺がん患者さんの約半数が、ステージ3A期の患者さんの4分の3以上が5年以内に再発しているため、新たな術後補助療法が求められています。

 同社のオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントであるJosé Baselga氏は、次のように述べています。

 「初期のEGFR遺伝子陽性の肺がん患者さんは、切除手術と術後補助療法に化学療法を受けても再発することが多く、現在のところ、アウトカムを改善できる承認された標的治療薬はありません。第3相ADAURA試験において、これらの患者さんに対して、タグリッソは非常に高い臨床的有効性を示しました。当社は、治癒が期待できるこの治療を一日も早く患者さんに届けられるよう、FDAと緊密な連携を進めています」