モボセルチニブ、化学療法歴のあるEGFRエクソン20陽性変異の転移性非小細胞肺がんに対し第1/2相試験実施、WCLCで最新結果発表

2021/02/17

文:がん+編集部

 プラチナ製剤ベースの化学療法歴があるEGFRエクソン20挿入変異を伴う転移性非小細胞肺がん患者さんを対象に、モボセルチニブを評価した第1/2相試験の良好な結果が発表されました。

モボセルチニブの奏効率、治験責任医師の判定35%、IRC判定でも28%と良好な結果

 武田薬品工業は1月29日、化学療法歴があるEGFRエクソン20挿入変異を伴う転移性非小細胞肺がん患者さんを対象にモボセルチニブを評価した第1/2相試験の新たなデータを、国際肺癌学会の2020年度世界肺癌学会議で報告したことを発表しました。

 今回発表された第1/2相試験では、プラチナ製剤による前治療を受けたEGFRエクソン20挿入変異を伴う転移性非小細胞肺がん患者さんを対象に、1日1回モボセルチニブ160mgの経口投与が行われました。

 解析の結果、治験責任医師の判定による奏効率は35%でした。また、独立判定委員会(IRC)による判定では、奏効率28%、奏効期間の中央値17.5か月、無増悪生存期間の中央値7.3か月、病勢コントロール率78%という結果でした。

 安全性に関しては、20%以上で認められた主な有害事象は、下痢(90%)、発疹(45%)、爪囲炎(34%)、悪心(32%)、食欲不振(32%)、皮膚乾燥(30%)、嘔吐(30%)でした。5%以上で認められたグレード3以上の有害事象は、下痢(21%)でした。投与中止に至った有害事象は17%に認められ、主なものは下痢(4%)および悪心(4%)でした。

 同社のOncology Therapeutic Area UnitのHeadであるChristopher Arendt氏は、次のように述べています。

 「EGFRエクソン20挿入変異を伴う転移性非小細胞肺がんは複雑かつ重篤な疾患でありながらも承認された標的治療がなく、既存の治療法では効果が限定され、患者さんの生存率が好ましくないため、本疾患への研究を前進させていくことが何よりも重要です。今回、本疾患を選択的に標的とするように設計された初の経口治療薬であるモボセルチニブでこのような良好な結果が得られたことは非常に喜ばしく、米国食品医薬品局(FDA)やその他の規制当局に対してプラチナ製剤による治療歴を有する患者さんの解析データを提出できることを心待ちにしています」