【週刊】がんプラスPickupニュース(2025年3月10日)
2025/03/10
文:がん+編集部
特定の胃食道腺がんを対象に「キイトルーダ+レンビマ+化学療法」を評価するLEAP-015試験の結果を発表
米メルク社とエーザイ株式会社は2025年1月24日、LEAP-015試験の最新の状況を発表しました。
LEAP-015試験は、局所進行切除不能または転移性HER2陰性胃食道腺がんの一次治療として、「ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)+レンバチニブ(製品名:レンビマ)+化学療法」を化学療法と比較した第3相試験です。
中間解析の結果、主要評価項目の1つである無増悪生存期間と重要な副次評価項目である奏効率について、「ペムブロリズマブ+レンバチニブ+化学療法」は化学療法と比較して統計学的に有意な改善を認めました。安全性に関しては、これまでに報告された安全性プロファイルと一貫していました。
がん細胞が、活性酸素種から逃げることで生き延びるがん転移のメカニズムを解明
京都大学は2025年2月25日、がん細胞が、活性酸素種から逃げることで転移し生き延びるメカニズムを解明したことを発表しました。
研究グループは、がん組織内に活性酸素種の一種である過酸化水素(H2O2)が高濃度に蓄積する領域が存在することを発見しました。この領域では、転移の初期段階を示す腫瘍「出芽」が活発に起きていることが判明。がん細胞は、自らにとって有害な活性酸素種から「逃れる」ために、転移の第一歩を踏み出していることがわかりました。この発見は、がんの転移メカニズムの解明に貢献するとともに、転移を抑える新たな治療法の開発にもつながる可能性があります。
国内初の造血器腫瘍遺伝子パネル検査「ヘムサイト」の発売を開始
大塚製薬株式会社は2025年3月3日、造血器腫瘍遺伝子パネル検査「ヘムサイト」の発売を開始したことを発表しました。ヘムサイトは、体外診断用医薬品のテンプレートDNA調製キット(製品名:ヘムサイト診断薬)と医療機器プログラムである遺伝子変異解析プログラム(製品名:ヘムサイト解析プログラム)により構成されています。
固形腫瘍のがん遺伝子パネル検査は保険適用されていますが、造血器腫瘍の遺伝子パネル検査は保険適用されておらず、ゲノム情報に基づいた造血器腫瘍の診療は実現できていませんでした。
造血器腫瘍における個別化医療の実現を目指し、同社と国立がん研究センターが共同開発したこの製品は、末梢血、骨髄液、組織、体腔液より抽出したDNAおよびRNA中の造血器腫瘍関連遺伝子変異を検出します。初発は、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫が対象です。急性骨髄性白血病、フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病などの疾患は、再発または難治性も保険診療の対象で、原因不明の著しい血球減少も保険診療の対象となります。